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父親と2人の娘
2人の娘のいる父親が、1人を野菜作りの農家に、もう1人を陶芸家(とうげいか)にお嫁にいかせました。
しばらくして、父親は農家のお嫁さんになった娘をたずねて、
「どうだ、元気か、仕事はうまくいっているか」
と、聞きました。
「なにもかも、うまくいっていますよ。ただひとつ、神さまにお願いしたいのは、雨をたくさん降らせていただきたいことですわ。野菜にたっぷり水をやりたいから」
その後まもなく、父親は陶芸家のところにお嫁にいった娘をたずねて、
「どうだ、うまくいっているかい」
すると娘は、
「ええ、うまくいっていますよ。でも、たった1つ望ましいのは、お天気がつづいて、日がよく照ることです。陶器がよくかわくようにね」
「さて、さて。おまえは晴れの日を望み、ねえさんが雨を望むのでは、お父さんはいったい、どっちといっしょに神さまにお願いしたらいいのだろう」
こんなふうに、正反対のふたつのことになやまされるのは、よくあることです。
おしまい
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