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          福娘童話集 > お話し きかせてね > 日本昔話の朗読 
         
           
         
モグラの目が見えないわけ  
岡山県の民話 → 岡山県の情報  
      
      
       むかしむかし、あるところに、一匹のモグラの大将がいました。  
「いくら世界広しといえども、モグラより穴掘りの上手な奴はおらんだろう。 
 だから世界で、モグラが一番えらいんだ。 
 ・・・だが、さすがのおれたちも、土の上に出るとおてんとうさまがギラギラと照らすので、背中が熱くなって困る。 
 どうにか、ならないものか」  
 するとそこへ物知りのモグラがやってきて、大将のモグラにこう言ったのです。  
「それならハギの木の枝を切って、弓をこしらえてはどうでしょうか? 
 ハギの弓は良く飛びますから、その弓でおてんとうまを射ち落としましょう」  
「なるほど。よし、そうしよう」  
 そこでモグラの大将はハギの枝で弓矢を作ると、空に浮かんでいるおてんとうさまに狙いをつけました。  
「おてかとうさま、覚悟しろ!」  
 ビューーーン!  
 こうして放たれた矢は、見事おてんとうさまに命中しました。  
 そしておてんとうさまの一部が欠けて、辺りが暗くなったのです。  
 これが、日食の始まりだと言われています。  
 
 さて、おてんとうさまが欠けて暗くなったので、モグラの大将は仲間のモグラたちを引き連れて、大いばりで地上に出ました。  
「ああ、いい気持ちだな。風というものが、こんなに気持ちいいとは知らなかった。なにしろ土の中では、風はふかんかんな」  
 モグラたちがのんびりしていると、いつの間にかおてんとうさまの傷が治って、おてんとうさまがいつもよりもずっと強く輝いたのです。  
「わあ! まぶしい!」  
 それを見たモグラたちはあわてて土の中にもぐりましたが、その時におてんとうさまの光で目をつぶされてしまいました。 
 
 こうしてモグラは、目が見えなくなったのです。  
      おしまい 
        
         
        
       
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