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          福娘童話集 > お話し きかせてね > 日本昔話の朗読 
         
          
         
おんぶお化け 
      
       
      
      
       むかしむかし、とてもおくびょうだけど心やさしい男が山道を歩いていると、どこからともなく、こわーい声がします。 
「・・・おんぶしてくれぇ〜、・・・おんぶしてくれぇ〜」 
「ひっ、ひゃあー! お化けだぁっー!」 
 男が逃げても逃げても、お化けの声はどこまでも追いかけてきます。 
「・・・おんぶしてくれぇ〜、・・・歩けなくて、・・・困ってるんだ。・・・たのむ」 
「・・・・・・」 
 その声を聞いて、男はお化けがかわいそうになりました。 
「わかった、おんぶしてほしければ、おぶされ」 
 すると男の背中に、お化けが、ズシン! と、のっかりました。 
「おっ、おもてえ! お化けって物は、もっと軽い物だと思っていたが、まあしかたない。しっかりつかまったか? いくぞ!」 
 男は目をつぶって、いちもくさんに帰りました。 
 男はなんとか家につきましたが、背中の重いお化けは乗っかかったままです。 
「もう、おろすぞ」 
 男がおそるおそる背中の物を下ろしてみると、なんとそれは小判がぎっしりと詰まった大きなつぼだったのです。 
 その時、どこからかお化けの声が聞こえました。 
「ありがとう。人に使われて喜ばれる為に生まれてきたのに、もう何十年も山にすてられたままだったんだ。どうか大事に使っておくれ」 
 おんぶお化けの正体は、山にすてられた小判だったのです。 
 
 こうしておくびょうだけど心やさしい男は、小判を上手に使ってお金持ちになりました。 
      おしまい 
        
         
        
       
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