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      福娘童話集 > お話し きかせてね > 江戸小話の朗読 
       
        
      化け物べい 
      
      
        むかし、ある男が、さみしい道を歩いていくと、目の前に、ひょいっと、高いへいがあらわれました。 
「あれまあ、こんなへいが、いつできたんだろ」 
 その男はしかたなく、へいにそって、横に歩いてゆきました」 
 ようやく、へいがとぎれたので、やれやれとおもったら、またまた、へいがありました。 
 へいにそって、横に歩いて、ようやくまがると、またもやへいが続いています。 
「これは、ほんもののへいではあるまい。うわさにきく、化け物べいだな。こうやって、人をつかれさせて楽しむ、はためいわくな化け物だ。ようし、つきやぶってやろう」 
 男は、はなれたところから、いきおいをつけて、タタタタタッと、はしっていくと、頭から、ドシン!と、体当たりしました。 
 ところが、今度は、ほんものの石べいだったからたまりません。 
 目をまわして、ひっくりかえってしまいました。 
      おしまい 
         
         
        
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