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          福娘童話集 > お話し きかせてね > 江戸小話の朗読 
         
          
      やぶ医者 
      
      
        お使いを頼まれた小僧が走っていると、向こうから医者がやってきました。 
 小僧と医者は見事にぶつかり、医者ははずみで転んでしまいました。 
「こら、あぶないではないか!」 
 医者は立ち上がると、小僧の頭を手でたたこうとしました。 
 すると小僧が、 
「手だけはかんべんを! 足でけるのなら、いくらでもかまいませんが、手でぶつのだけは、どうか、どうか、ごかんべんを」 
と、泣きながら言います。 
「はて? 足でける方が痛いだろう? なぜ、手でぶつのはだめなのだ?」 
 医者が不思議そうに聞くと、小僧は言いました。 
「足でけられても、痛いだけで命には別状ありません。しかし、あなたさまのお手にかかると、助かる者も助からないと、もっぱらの評判ですから」 
      おしまい 
         
         
        
        
       
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