| 
      | 
     
      福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうの日本昔話 
       
        
       
踊る三毛猫 
福井県の民話 → 福井県情報 
      
      
       むかしむかし、あるところに、三毛猫を可愛がっている三味線ひきのおばさんがいました。 
 ある日の事、三毛猫に踊りを教えてみようと思ったおばさんは、いろりに鉄鍋をかけて、その中に三毛猫を座らせました。 
 それからいろりに少しばかりの炭火を入れて、猫の足がやけどしないぐらいに温めました。 
 鍋の中が熱くなってくると三毛猫は思わず立ちあがり、すかさずおばさんが鳴らし始めた三味線に合わせるように、熱くなった手足を動かして踊る格好をしました。 
「そうそう、上手、上手」 
 おばさんは猫が手を上げるとピン、足を跳ねるとトン、手足を下ろすとシャンと、上手に三味線をならしました。 
 こうして少しずつ練習を重ねていると、しまいに三毛猫は三味線の節を覚えて、鉄鍋の中に入れなくても一人で踊るようになりました。 
 おまけに節に合わせて、 
♪ニャ、ニャン、ニャー 
と、可愛く言うのです。 
 この踊る三毛猫の噂はあっというまに広まって、あちらこちらから、ぜひ三毛猫の踊りを見せてくれと頼んでくるようになりました。 
♪トン、トン、ピン、シャン 
♪ニャ、ニャン、ニャー 
 ところが、三毛猫があまりにもうまく踊り歌うので、それをねたんだ人たちが、 
「あの三毛猫は、化け猫だよ」 
と、言い始めました。 
 それからはおばさんは三毛猫の踊りを人には見せずに、自分だけの楽しみにしたそうです。 
      おしまい 
         
         
        
            | 
      | 
     |