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      福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうの日本昔話 
       
        
       
人を食わなくなったオニ 
岡山県の民話 → 岡山県情報 
      
       
      
      
       むかしむかし、あるところに、とても気の強い男がいました。 
 ある日の事、男が山で仕事をしていると突然おそろしい人食いオニが現れて、男をパクリと飲み込んでしまいました。 
 でも、気の強い男の人は、少しも恐がりません。 
「ほう、これがオニののどか」 
 男が先に進むと、赤い壁に囲まれたところへ出ました。 
 ふと前を見ると、上からひもの様な物が三本ぶらさがっています。 
「なんだ、これは?」 
 男は、一本のひもを引っぱってみました。 
 そのとたんに、オニが大きなクシャミをしたのです。 
「は、は、はっ、はくしょん!」 
(なるほど、これはクシャミの出るひもだな) 
 男は、もう一本のひもを引いてみました。 
 するとオニは、大きな口を開けて、 
「わっはっはっは、わっはっはっは」 
と、笑い出したのです。 
(おもしろくなってきたぞ) 
 男は、最後のひもを引っぱってみました。 
 するとさっきまで笑っていたオニが、急に泣き始めたのです。 
「うぇーーん、うぇーーん」 
(これはおもしろい。クシャミのひもに、笑いのひもに、泣きのひもか。・・・もし、いっぺんにひもを引っ張ったらどうなるだろう?) 
 男の人は三本のひもを一緒ににぎりしめると、思いっ切り引っ張ってみました。 
 さあ、大変です。 
 はくしょん! 
 わっはっはっは。 
 うぇーーん、うぇーーん。 
 オニはくしゃみをしたり、笑ったり、泣いたりと大騒ぎです。 
 ですが男は、ひもを引っぱるのをやめません。 
 オニは苦しくて苦しくて、今にも倒れてしまいそうです。 
(さあ、そろそろ出るとするか) 
 男は三本のひもをはなすと、クシャミのひもを力一杯引っ張りました。 
 は、は、はっ、はくしょん! 
 オニはもの凄いクシャミをして、口から男をはき出しました。 
 男は、苦しそうに涙を流しているオニに言いました。 
「やい、オニよ。もう一度飲み込んでみるか?」 
「ブルブルブル。とんでもない!」 
 オニは首をブンブンと横に振ると、あわてて逃げてしまいました。 
 そんな事があってから、オニはもう二度と人間を食ベなくなったという事です。 
      おしまい 
         
         
        
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