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          福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうの日本昔話 
         
        
       
殿さまとタイの塩焼き 
岡山県の民話 → 岡山県情報 
      
      
       むかしむかし、とても魚料理の好きな殿さまがいました。 
 魚料理でも、特にタイの塩焼きが大好物で、ほかにたくさんのごちそうがあっても、必ずタイの塩焼きをつけないと機嫌が悪くなるのでした。 
 でも、大好きといっても、ほんの二、三口はしをつけるだけで、ほとんど残してしまいます。 
 ところがある日の事、殿さまはタイの表側をきれいに食べ終わると、けらいに言いました。 
「今日のタイは、とてもおいしいぞ。すぐにかわりを持ってこい」 
 さあ、おどろいたのは家来たちです。 
 いつも二、三口ほどしか食べないので、おかわりなんて用意していません。 
 かといって、これから用意するとなると、とても時間がかかります。 
「はあ、その、あの・・・」 
 どういっていいかわからず、家来たちがおろおろしていると、頭の良い一人の家来が、 
「かしこまりました。すぐにお持ちいたします」 
と、言って、タイの乗っている皿を持って廊下へ出るなり、すばやくタイをひっくり返しました。 
 そしてそのまま、部屋に戻って殿さまのおぜんにおき、 
「おかわりを持ってきました」 
と、言ったのです。 
「うむ。早かったな」 
 何も知らない殿さまは、これを新しいタイだと思って、二、三口はしをつけると、 
「よいよい。このタイは、さっきよりもおいしいぞ」 
と、言って、ニッコリ笑ったという事です。 
      おしまい 
         
         
        
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