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          福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうの世界昔話 
       
        
       
キツネとウマ 
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       むかしむかし、お百姓(ひゃくしょう)さんの家で長い間働いているウマがいましたが、もう年を取った為に今では満足に働く事が出来ません。 
 するとお百姓さんは、ウマを追い出してしまいました。 
 追い出されたウマがしょんぼり歩いて行くと、キツネにバッタリと出会いました。 
「おや、どうしたんだい? えらく元気がないじゃないか」 
 そこでウマが訳を話すと、キツネは、 
「ふーん。人間なんて、勝手な生き物だな。働けなくなったら、追い出してしまうとは。・・・よし、ここはおいらが助けてやろう。あんたはそこに寝転がって、死んだふりをしていなよ」 
と言って、ライオンのところへ飛んで行きました。 
「こんにちは、ライオンさん。実はあっちで、ウマが死んでいます。なかなかに、うまそうなウマですよ」 
「そうか、ではさっそく行ってみよう」 
 ライオンは、キツネの後をついて行きました。 
 そしてウマを見つけると、すぐにかぶりつこうとしたので、キツネはあわてて言いました。 
「ちょっと待って下さい。 
 こんなところじゃ、横取りしようとする動物が来るかもしれませんよ。 
 それよりも、わたしがウマとあなたの尻尾を結びつけてあげますから、あなたはウマを家に持って帰ってから、ゆっくり食べれば良いではありませんか」 
「なるほど、それは良い考えだ」 
 ライオンは頷くと、ウマの方にお尻を向けました。 
「はいはい。しばらくの間、動かないで下さいよ」 
 キツネはそう言うと、ウマの長い尻尾の毛でライオンの足をグルグル巻きにして、ライオンの身動きが取れない様にしてしまいました。 
「さあ、ウマさん。これでライオンは、身動きが出来ません。このまま家に帰りましょう」 
 それを聞いたライオンは、ビックリです。 
「キツネめ、よくもだましたな!」 
 ライオンは大声で吠えますが、足をグルグル巻きにされているので動く事が出来ません。 
 やがてウマはライオンをひきずったまま、お百姓さんの家まで帰って行きました。 
 するとそれを見たお百姓さんは、感心してウマに言いました。 
「ライオンを捕まえて来るなんて、お前は大したウマだ。よし、お前の面倒は、死ぬまでわたしが見てやろう。もう追い出したりしないから、安心するがいい」 
 こうしてお百姓さんは、ウマを死ぬまで大切に可愛がってやったそうです。 
      おしまい 
          
         
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