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福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうの世界昔話
鼻の白いネコ
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むかしむかし、あるところに、とてもなまけ者の男がいました。
男は一日中、寝ころんでいて、
「腹が減ったな。・・・でも、食事をするのもめんどくさい」
と、何も食べようせず、それでとうとう飢え死にしてしまいました。
さて、なまけ者はあの世へ行くと、さっそくえんま大王の前へ連れて行かれました。
えんま大王はなまけ者をにらみ付けると、こう言いました。
「食べるのがめんどくさいと言って飢え死にするとは、なんたるやつ。悪い事はしておらぬが、なまけ者の罰としてネコに生まれかわらせてやる!」
それを聞くと男は、えんま大王に頼みました。
「大王さま。どうか大王さまのおなさけで、わたしを鼻の白い黒ネコにしてください」
「うん? 鼻の白い黒ネコだと? まあ、それはよいが、しかしまた、どういうわけじゃ?」
「はい。わたしがネコに生まれかわりましたら、わたしはただ、毎日暗がりに寝ころんでおります」
「ふむ。それで?」
「するとネズミどもが、わたしの白い鼻を見て『おや? うまそうな団子が落ちているぞ』と、わたしに近づいてくるでしょう」
「なるほど。それで?」
「ネズミがわたしの口のところへ寄ってきた所をパクリとかみついてやれば、わたしは寝ていてもネズミ取りが出来ますから」
この男のなまけぐせは、死んでも治らなかった様ですね。
おしまい
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