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2015年2月9日の新作昔話
三匹のサルの長生き比べ
むかしむかし、あるところに、三匹のサルがいました。
「ああ、栗が食いたいな」
「ああ、食いたいぞ」
「では、栗拾いに行こう」
三匹はそろって栗拾いに行きましたが、栗は一つしか見つかりませんでした。
「栗が一つしかないぞ。どうやってわけようか?」
「ここは、一番年長の者が貰う事にしてはどうだ?」
「それがいい。だが、わしらのうち、誰が一番年上なんじゃ?」
そこで三匹は、自分が子どもだった頃の事を話す事にしました。
最初に、一匹が話しました。
「わしがまだ子ザルだった頃、琵琶湖は今ほどでかくなくてのう、深さも茶碗の底くらいしかなかったよ」
すると、もう一匹が言いました。
「そりゃ、ずいぶんとむかしの話じゃのう。だが、わしにはかなうまい。何しろ、わしが子ザルだった頃は、まだ富士山は茶わんくらい高さで、わしは何度も踏んづけて遊んだものじゃ」
するとそれを聞いた三匹目のサルが、しくしくと泣きながらいいました。
「実はわしには、二匹の子どもがおってのう。最初の子は富士山がまだ茶わんほどの高さの頃、富士山につまづいて死んでしもうたんだ。そして二番目の子どもは、琵琶湖がまだ茶碗の底ほどの深さだった頃、水遊びのしすぎで風邪をひいて死んでしまったのじゃよ」
それで三匹目が一番年上という事になって、栗を手に入れたそうです。
おしまい
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