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    福娘童話集 > きょうの新作昔話 >命のろうそく 
      2015年3月30日の新作昔話 
          
          
         
命のろうそく 
       むかしむかし、あるところに、とても仲の良い兄弟がいました。 
 ある日の事、兄さんが急に具合が悪くなって寝込んでしまったので、弟が神さまにお祈りをしました。 
「神さま。どうぞ、兄さんが早く良くなりますように」 
 するとどこからか、神さまの声が聞こえてきました。 
「それでは、天からはしごを降ろしてやるから、登ってきなさい。天には命のろうそくがあるから、兄の命の火を探すのじゃ」 
 さっそく弟が外へ出てみると、雲の間からするすると長いはしごが降りてきました。 
「あれが天のはしごだな。よし、兄さん、待っていてくれよ」 
 弟がはしごをどんどんどんどん登って行くと、雲の上にある大きな屋敷の中にたどり着きました。 
 そこには数え切れないほどのろうそくが並べられており、全てのろうそくに火がついています。 
 よく見ると、ろうそくには全て名前が書いてあります。 
「ははーん、これが命の火というやつだな」 
 弟は、兄の名前が書かれたろうそくを探しました。 
 すると、どうでしょう。 
 兄のろうそくは、まだ長くて立派なのに、何かのはずみで横倒しになっており、火が小さく消えかかっていたのです。 
 弟は火が消えないように気をつけながら、兄のろうそくを立て直すと、隣にあった自分の名前の書かれたろうそくのろうを少し垂らして、兄のろうそくと一緒に倒れないように根元を固めました。 
「よし、これで大丈夫だ」 
 弟が再び長いはしごを使って地上に戻ってみると、兄はうそのように元気になっていたのです。 
 それからは兄弟二人とも病気一つせず、いつまでも仲良く暮らしたのでした。  
      おしまい 
         
          
         
        
       
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