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    福娘童話集 > きょうの新作昔話> タンタン竹女
 
      2015年 8月10日の新作昔話 
          
           
         
        タンタン竹女  
        長崎県の民話 → 長崎県情報  
       むかしむかし、長崎県の中島川の上流の谷間から、夕方になると毎日の様に、美しい笛の音色が流れてきました。  
  「さすがはお竹さんの笛じゃ」  
  「まったく、いつ聞いてもよい音じゃ」  
   お竹さんとは、西山村の村役人の松見半太夫(まつみはんだゆう)の一人娘です。  
   ある夏の夕暮れ、お竹さんが笛を吹きながら山道を歩いて行くと、一人の美しい若者が、林の中からお竹さんの笛の音をじっと聞いていたのです。  
  (なんて、すばらしい殿方かしら)  
   それからというものお竹さんは、この美しい若者に想いを寄せて、毎夜、笛を吹いて歩き、二人はいつしか、恋仲になったのです。  
   しかしある日の事、夜に笛を吹きに行ったお竹さんが、帰ってこなかったのです。  
   心配した父親の半太夫は、村人たちと共に何日も山中を捜し歩きました。  
   そして頂上近くの竜頭岩(りゅうとうがん)の上に、二人がしっかりと抱き合っている姿を見つけたのです。  
   そこで一緒に来ていた修験者(しゅげんしゃ)の一人が呪文を唱えると、若者は一匹の大蛇となって森の中に消えました。  
   こうしてお竹さんは助けられたのですが、大蛇になった若者に会えない悲しみから病気になり、そのまま死んでしまったのです。  
   さて、その時から二人がいた竜頭岩を叩くと、  
  ♪タンタン、タケジョ  
  ♪タンタン、タケジョ  
  と、鳴るようになったのです。  
   それで土地の人は今でも、竜頭岩の事を『タンタン、タケジョ』と、呼んでいるそうです。  
      おしまい 
         
          
         
        
       
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