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2015年 8月24日の新作昔話
疫病神の苦手な物
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むかしむかし、江戸に、はりま屋惣七という人がいました。
ある日の事、惣七が町中を散歩していると、町外れで気弱そうな男が頭を抱えているおびえていました。
「どうしよう。早く行かないと行けないのに、こう犬が多くては」
その男は犬が怖いのか、犬ににらまれて、足がすくんで動けない様子です。
男は惣七と目が合うと、助かったとばかりに声をかけてきました。
「すみません。わたしは犬が大の苦手なのですが、このあたりには犬を飼う家が多くて難儀しております。どうか道づれになっていただけませぬか?」
「ああ、いいですよ」
心やさしい惣七は快く承知して、犬を追い払うと一緒に歩いてあげました。
しばらく行くと、男が言いました。
「ありがとうございます。それでは、わたしはこの先の家に用事がありますので」
「おう、そうかい。それじゃあな」
惣七が別れて行こうとすると、それを男が引きとめて、
「実は、あたしは疫病神でございます。
このたびは、この先の家に疫病を持ってまいりました。
あなたは良いお方だからお教えしますが、あたしらのような者は、犬と赤い物が苦手と決まっております。
毎月三日に小豆の粥(かゆ)を炊く家には、決して近寄りません。
では」
と、去っていきました。
(疫病神だって? どう見ても普通の人間なのに、変な事を言う男だ)
その時、惣七は男の話を信じていませんでしたが、それから数日すると、男が入っていった家の使用人が悪い病気にかかり、家中の者が次々と死んで、ついには家が絶えてしまったのです。
(あの男は、本当に疫病神だったのか)
それからというもの、このあたりでは毎月三日に小豆の粥を食べるようになったそうです。
おしまい
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