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2017年 1月30日の新作昔話
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働き者の足となまけ者の頭
ジプシーに伝わる話
むかしむかし、音楽を奏でたり、歌を歌ったり、踊りを踊ったりしながら旅を続けるジプシーの一団がありました。
その中に、楽器を奏でる事も、歌を歌う事も、踊りを踊る事も出来ない貧乏な男がいました。
この男は仲間のために買い物をしたり、仲間の荷物を運んだりして、仲間から少しのお金をもらって暮しています。
今日の仕事を終えた男は、寝る前に疲れた足をさすりながらふと思いました。
(おれの足は、なかなかの働き者だな。
荷物を持った重い体を乗せて歩き回っているのに、少しも文句を言わない。
それに比べて、おれの頭はなまけ者だ。
いつも体に乗せてもらって楽をしているのに、腹が減れば大口を開けて物を食う。
少しでも嫌な事があると、大口を開けて文句ばかりだ。
そして寝る時も、布団が小さいから足は地面の上で寝ているのに、なまけ者の頭は枕の上でのんびりと寝てやがる。
考えてみれば、こんな不公平な事があるか!)
そう思った男は、その夜から足を枕に乗せて布団をかけて暖かくし、頭は地面に落として眠るようになりました。
おしまい
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