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2018年2月5日の新作昔話
お坊さんになった侍
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むかしむかし、鳥を捕まえて暮らしを立てている貧乏侍がいました。
侍が今日も鳥を捕まえに行くと、池には仲良く泳いでいるオシドリの夫婦がいたのです。
「よし、今日の獲物は、あのオシドリにしよう」
侍は弓矢をかまえると、見事にオスのオシドリを仕留めたのです。
そして侍は、そのオシドリを土間に吊すと、
「明日になったら、料理をして食べよう」
と、その日はお酒を飲んで、寝てしまいました。
すると夢の中にとても美しい女の人が現われて、涙を流しながらこう言ったのです。
「なぜ、わたしの夫を殺したのですか?」
「えっ? わたしは誰も殺していませんよ。あなたは誰ですか?」
「昨日、夫を弓矢で射殺された者です」
さて、目覚めた侍が、昨日仕留めたオシドリを料理しようと土間へ行くと、吊していたはずのオシドリが地面に落ちていて、そのオシドリに体を寄せ合うように、取った覚えのないメスのオシドリが死んでいたのです。
それを見て、侍は昨日見た夢の事を思い出しました。
「そうか。昨日の夢に出てきた美しい人は、このオシドリの妻だったのか」
オシドリの夫婦愛に心を打たれた侍は、二匹のオシドリにお墓を作ってやると、そのままお寺に行って、お坊さんになったそうです。
おしまい
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