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2018年11月12日の新作昔話
イラスト たつよ 提供 らくがきの日常
水アメの毒
一休さんのとんち話 → 一休さんについて
むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
ある日の事。
和尚(おしょう)さんが、村人に水アメをもらいました。
それを欲しそうな目で見ていた一休さんに、和尚さんが怖い顔で言いました。
「一休よ。これはな、大人が食べると薬じゃが、子どもが食べるとたちまち死んでしまうと言う、恐ろしい毒の水アメじゃ。決して食べてはいかんぞ」
すると一休さんは、ニッコリ笑って、
「はい、絶対に食べません」
と、言いました。
「そうか、そうか」
和尚さんはそれを聞いて、安心して用事に出かけました。
和尚さんがいなくなった事を知った一休さんは、
「えっへへへ。子どもが食べると毒だなんて、よく言うよ。水アメを一人占めしようだなんて、そうはいかないよ」
と、さっそく他の小僧さんと水アメを分けあって、全て食べてしまったのです。
「ああ、おいしかった」
「でも一休。こんな事をして、和尚さんに叱られないか?」
心配する他の小僧さんに、一休さんはニッコリ笑うと。
「大丈夫、大丈夫。一休に、良い考えがあります。実はですね・・・」
さて、それからしばらくして、和尚さんが用事をすませて帰って来るのが見えました。
すると一休さんは和尚さんの大切にしていた茶碗(ちゃわん)を持ち出して、それを庭の石にガシャン!
と、ぶつけて割ってしまいました。
そして目元をつばでぬらすと、みんなで泣き真似をしました。
「えーん、えーん」
帰って来た和尚さんは、みんなが泣いているのでビックリ。
「こりゃ、何を泣いておるのじゃ? 一休、これはどうした事だ?」
すると一休さんが、泣きながら言いました。
「えーん、えーん。
和尚さんの・・・。
和尚さんの大切な茶碗を、割ってしまいました。
おわびに毒の水アメをなめて死のうと思いましたが、
全部なめても死ねません。
えーん、えーん」
それを聞いた和尚さんは、頭をポリポリかきながら、
「こりゃ、してやられたわ」
と、言い、それからは村人にもらったおかしは、みんなで分ける事にしたのです。
おしまい
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