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ささらと昔話講座 第05話【舌切り雀】
ささらとゆっくり昔話 第05話【舌切り雀】
舌切りすずめ
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「蓮音レコン)」 蓮音レコン
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投稿者 「ぼん」 ぼんの読み聞かせ
♪音声配信(html5) |
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音声 得本綾(コトリボイス) ラジオHP |
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
心のやさしいおじいさんは、一羽のスズメを飼っていました。
ある日、スズメがおばあさんがつくったノリを、ツンツンと突いて食ベてしまったのです。
「このいたずらスズメ!」
怒ったおばあさんはスズメをつかまえると、なんとハサミでスズメの舌を切ってしまいました。
チュッ、チュッ、チュッ!
スズメは泣きながら、やぶの中へ逃げていきました。
間もなくおじいさんが仕事から帰ってきましたが、スズメの姿が見えません。
「おばあさん、わしのスズメはどこにいったかの?」
「ふん! あのいたずらスズメ。わたしのノリを食べてしまったから、舌をハサミで切ってやったわ」
「なんと、かわいそうに・・・」
心のやさしいおじいさんは、舌を切られたスズメの事が心配でなりません。
「大丈夫だろうか? ごはんはちゃんと、食べているだろうか? ・・・よし、探しにいこう」
おじいさんはスズメの逃げたやぶに、スズメを探しに行きました。
「おーい、おーい。スズメやスズメ。舌切りスズメは、どこにいる?」
するとやぶのかげから、チュンチュンとスズメの鳴く声がします。
「おじいさん、ここですよ。スズメの家はここですよ」
やぶの中から、スズメたちが大勢現れました。
見ると、舌を切られたスズメもいます。
「おおっ、すまなかったな。どれ、舌は大丈夫か? ・・・ああっ、よかった。これなら大丈夫だ」
スズメの舌を見て、おじいさんはホッとしました。
「ありがとう、おじいさん。さあさあ、わたしたちの家で休んでいってくださいな」
スズメたちは、みんなでおじいさんをスズメの家へ連れて行きました。
そしてみんなでスズメ踊りをしたり、おいしいごちそうをたくさん出してくれました。
おじいさんは、大喜びです。
「それでは暗くならないうちに、おいとまをしよう。スズメさんたち、ありがとう」
おじいさんがお礼をいって帰ろうとすると、スズメたちは大きなつづら(→衣服などを入れるカゴ)と小さなつづらを持ってきました。
「おじいさん、おみやげにどちらでも好きな方を持っていってくださいな」
スズメたちが、言いました。
「ありがとう。でも、わたしはこの通りおじいさんだから、あまり大きなつづらは持つ事が出来ない。小さい方を、いただくとしよう」
おじいさんは小さなつづらをおみやげにもらうと、背中に背負って帰っていきました。
そして家に帰ってスズメのおみやげを開けてみると、なんと中には大判小判に宝石やサンゴなどの美しい宝物がたくさん入っていたのです。
スズメたちはやさしいおじいさんに、みんなでお礼のおくり物をしたのです。
「まあ、まあ、まあ、なんていい物をもらったんでしょう。わたしもほしいわ」
スズメのおみやげを見て、おばあさんはうらやましくてなりません。
「どれ、わたしも行って、もらってこようかね」
おばあさんは、スズメの家へ出かけていきました。
そしてスズメの家に、無理矢理入ると、
「ごちそうも踊りも、いらないよ。すぐに帰るから、はやくみやげを持ってくるんだよ」
「はい、では、大きいつづらと小さいつづら・・・」
「大きいつづらに、決まっているだろ!」
おばあさんは大きいつづらを受け取ると、急いで家へ帰っていきました。
「しかし、なんとも重たいつづらだね。でもそれだけ、お宝がたくさん入っている証拠だよ」
家までもう少しでしたが、おばあさんはつづらの中にどんな物が入っているのか見たくてなりません。
「どれ、何が入っているか、見てみようかね」
おばあさんは道ばたでつづらを下ろすと、中を開けてみました。
「きっと、大判小判がザックザクだよ。・・・うん? ・・・ヒェー!」
なんとつづらの中には、ムカデにハチにヘビ、そして恐ろしい顔のお化けたちがたくさん入っていたのです。
「たっ、助けておくれー!」
おばあさんは一目散に、家へ逃げ帰りました。
そしておじいさんに、この事を話すと、
「おばあさん、かわいいスズメの舌を切ったり、欲張って大きなつづらをもらったりしたから、バチがあたったのだよ。これからは、生き物を可愛がっておやり。それから決して、欲張らないようにね」
おじいさんはおばあさんに、そう言いました。
おしまい
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