ささずんと昔話講座 第20話【鶴女房】 読者の「NS.MOOOON」さんの投稿作品。 アニメサイズ
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むかしむかし、貧しいけれど、心の優しいおじいさんとおばあさんがいました。 ある寒い冬の日、おじいさんは町へたきぎを売りに出かけました。 すると途中の田んぼの中で、一羽のツルがワナにかかってもがいていたのです。 「おお、おお、可愛そうに」 するとツルは、おじいさんの頭の上を三ベん回って、 と、さもうれしそうに鳴いて、飛んで行きました。 おじいさんがおばあさんにツルを助けた話をしていると、表の戸を、 トントン、トントン と、叩く音がします。 おばあさんは驚いて、 と、娘を家に入れてやりました。 娘は丁寧(ていねい)に、手をついて頼みました。 娘は喜んで、その晩は食事の手伝いなどをして働いて休みました。 あくる朝、おばあさんが目を覚ますと、娘はもう起きて働いていました。 いろりには火が燃え、鍋からは湯気があがっています。 「まあ、まあ、ご飯ばかりか、お掃除までしてくれたのかね。ありがとう」 次の日も、その次の日も大雪で、戸を開ける事も出来ません。 娘は、おじいさんの肩をもんでくれました。 「おお、おお、何て良く働く娘さんじゃ。何て良く気のつく優しい娘さんじゃ。こんな娘が家にいてくれたら、どんなにうれしいじゃろう」 「身寄りのない娘です。どうぞ、この家においてくださいませ」 娘が機(はた)をおりたいから、糸を買ってくださいと頼みました。 おじいさんが糸を買ってくると、娘は機の回りにびょうぶを立てて、 「機をおりあげるまで、決してのぞかないでください」 キコバタトン、キコバタトン。 と、娘は空の雲の様に軽い、美しいおり物を二人に見せました。 おじいさんが町へ売りに行くと、それを殿さまが高い値段で買ってくれました。 おじいさんは喜んで、糸を買って帰りました。 すると娘はまた、機をおり始めました。 「ねえ、おじいさん。あの娘はいったいどうして、あんな見事な布をおるのでしょうね。・・・ほんの少し、のぞいてみましょう」 おばあさんがびょうぶのすきまからのぞいてみると、そこに娘はいなくて、やせこけた一羽のツルが長いくちばしで自分の羽毛を引き抜いては、糸にはさんで機をおっていたのです。 「おじいさん、おじいさんや」 おどろいたおばあさんは、おじいさんにこの事を話しました。 「おじいさま、おばあさま。もう、隠していても仕方ありませんね。 そう言ったかと思うと、おじいさんとおばあさんが止めるのも聞かず、たちまち一羽のツルになって空へ舞い上がりました。 そして家の上を、三ベん回って、 と、鳴きながら、山の向こうへ飛んで行ってしまいました。 「ツルや。いや、娘や。どうかお前も、たっしゃでいておくれ。・・・今まで、ありがとう」 おじいさんとおばあさんは、いつまでもいつまでもツルを見送りました。 それからのち、二人は娘のおった布を売ったお金で幸せに暮らしました。 おしまい |
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