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2022年11月21日の新作昔話
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
イラスト 朗読パーク NPO声物園チャンネル
おの字
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語り 「山本正子」 朗読パーク NPO声物園チャンネル
一人娘がお嫁に行くので、お母さんが娘に言いました。
「お前は言葉づかいが悪いから、気をつけるんだよ。言葉の前には『お』の字をつけて、ていねいに言うんだよ」
「『お』の字をつけて言えばいいんだな。わかった」
それから無事に結婚式が終わり、娘はお嫁さんになりました。
次の日、娘はおしょうとめさん(→おむこさんの母親)に言いました。
「お台所の、おすりこぎ棒が、お風に吹かれて、おころん、おころんと、おなっています」
それを聞いたおしゅうとめさんが、娘に注意しました。
「ていねいなのはいいが、そんなに何にでも『お』をつけるもんじゃないよ」
しばらくして娘が里帰りをした時、その時の話しをするとお母さんは言いました。
「それは、おしゅうとめさんの言う通り。あんまり『お』ばかりつけるのも、おかしいよ」
「『お』をつけると、おかしいんだな。わかった」
娘が里から帰ると、おしゅうとめさんが聞きました。
「里では、みなさんおかわりなかったですか?」
娘はお母さんから、あまり『お』をつけるなと言われたのを思い出して答えました。
「はい、やじも、ふくろも、元気」
これには、おしゅうとめさんもあきれてしまいました。
そしてこんな娘では困ると、とうとう里に帰されてしまったそうです。
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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