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2023年9月18日の新作昔話
制作 「ハブルータ・Havruta」
町のネズミと田舎のネズミ
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
制作 「ハブルータ・Havruta」
町のネズミが田舎のネズミの家に遊びに来ました。
二匹は幼なじみ、会うのはとても久しぶりです。
田舎のネズミはうれしくて、おおはりきり。
ありったけのごちそうを、心を込めて準備しました。
ですが、町のネズミはテーブルを見て“キョトン”としています。
「君はこんなの食べてるの?
町にはもっとおいしいものが、いっぱいあるんだけどな~」
町の様子を聞いてみると、すべてがみりょく的です。
「わぁ〜 うらやましいなぁ」
「それなら、今から町に行こうよ」
そうして二匹は、町に出かけることになりました。
町にはきれいなお店ばかり、見たこともない食べ物がたくさん並んでいます。
田舎のネズミはもうワクワクが止まりません。
「さぁ、ここがぼくの家だよ。ごちそうするから付いてきて」
町のネズミに付いて部屋に入ってみると、テーブルの上には美味しそうなものばかり!
チーズにケーキ、ローストビーフ!
オムレツ、マカロン、ハンバーグ!!
初めて食べるケーキの美味しさに うっとりしていると、急にドアが開きました。
(足音)
「人間が入ってきた! かくれるよ」
二匹は大急ぎで、かべの穴に逃げ込みます。
「一体何が起こったの?」
「人間が来たら、かくれないといけないのさ」
町のネズミはすずしい顔で答えます。
人間が居なくなったところで、二匹はテーブルに戻りました。
「今度はこれを食べてみよう」
初めて食べたチーズの味は格別です。
口いっぱいに ほおばっていると、とびらの向こうから猫の声が!
(猫の声)
「さあ、かくれるよ」
二匹はまたも大急ぎで、かべの穴に戻ります。
猫が行ったのでテーブルに戻ると、今度は犬が!
(犬の声)
田舎のネズミは、もうヘトヘトです。
「食べ物は美味しいけど、こんなの落ち着かないよ…」
田舎のネズミはそそくさと、家に帰ってしまいました。
町のネズミは首をかしげました。
「あれ? いつものことなんだけどな???」
それから数日が経ちました。
町の暮らしにおどろいた田舎のネズミが、どうしているかというと・・・
いつもの様に過ごしています。
時々、町のごちそうが頭をよぎりますが、あんな危険はまっぴら!
「でも、見つからずに逃げきった あれってすごかったなぁ」
美味しいごちそうと、命がけのスリル。
たった一度の経験が、頭の中をぐるぐるめぐります。
頭をブルっとふって、いつもの食事をしていると、町のネズミの声がしました。
「お土産だよ」
そう言って渡してくれたのは、あの時食べた〝ケーキのひとかけら″でした。
「この前は おどろかせてしまったみたいだね、ごめんよ。
これ、少しだけど 食べてね」
そう言って、また町にもどって行きました。
その後も、たびたび 町から美味しいものを持ってきてくれました。
田舎のネズミが喜ぶので、うれしかったみたいです。
ところが、ある時から 町のネズミは顔を見せなくなりました。
「どうしたんだろう… ?」
心配になった田舎のネズミは、勇気を出して 町に行く決心をしました。
犬や猫がいないか、よ〜く確認して進みます。
人間が来たら、さっと柱のかげにかくれます。
田舎のネズミの大ぼうけん!
ようやく部屋にたどり着くと、町のネズミは足にけがをして、大変お腹をすかせていました。
「足が治るまで田舎に行こうよ。ぼくがお世話するからさ。まずは、腹ごしらえ!」
そう言うと、田舎のネズミはチーズを取りに行きました。
そのすばやさは、町のネズミ顔負けでした。
二匹は田舎に戻りました。
小川のせせらぎ、
ゆっくりと流れる雲、
晴れた夜には満天の星。
木かげで寝ころびながら、町のネズミは田舎のネズミに話します。
「こんなにゆったりした気持ち、すっかり忘れていたよ。
連れて来てくれて ありがとう」
すると、田舎のネズミは言いました。
「ぼくの方こそお礼を言わなきゃ!本当はね、町でのことが忘れられなかったんだ。
ぼくには あんなに必死になってかくれたり、走ったりすることって なかったよ。
すごくエキサイティングな一日だったんだ!」
田舎の良さに気づいた町のネズミと、町の面白さに気づいた田舎のネズミ。
「両方の良さをみんなに教えてあげたいね」
「そうだね」
二匹は、次から次へとアイディアがあふれて止まりません。
そしてとうとう、観光ビジネスを始めることにしました。
『疲れた体をリフレッシュ!
パワー充電・田舎のんびりツアー』
『町のごちそう食べ放題!
素早くかくれる・スリリングツアー』
今では二匹のネズミは大忙し。
二つのツアーは予約でいっぱいです。
おいまい
福娘童話集バージョン
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イラスト myi ブログ sorairoiro
野ネズミと家ネズミ
アニメサイズ
Max 1920×1080 字幕「日本語」「英語」「中国語」
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制作 「ハブルータ・Havruta」
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野ネズミと家ネズミとは、とても仲良しでした。
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家ネズミは友だちの野ネズミに呼ばれて、
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ご馳走になりに、いそいそと野へ出かけました。
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ところがオオムギとコムギばかり食べさせられたので、こう言いました。
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「これじゃあ、きみ、まるでアリの生活だ。
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家へ来れば、うまい物がいっぱいあるから、
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一緒に来て、何でもおあがりよ」
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そこで2匹は、すぐさま出かけました。
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そして家ネズミが見せたのは、
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マメやムギの他に、ヤシの実や、チーズや、ハチミツや、果物のでした。
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そこで野ネズミはビックリして、
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家ネズミの暮らしをたいそう褒めて、身の不幸せを嘆きました。
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さて、いよいよごちそうに手を出そうとした時、
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急に人間が戸を開けました。
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ネズミは臆病ですから、
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2匹ともその音に驚いて壁の割れ目に飛び込みました。
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しばらくして、
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今度こそごちそうを食べようとしましたが、
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また別の人が部屋の中へ入ってきました。
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それを見て、ネズミはまた穴に飛び込んで隠れました。
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そこで野ネズミはお腹の空いた事など忘れて、ためいきをつきながら家ネズミに言いました。
「さようなら。
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きみは、危ない目や、怖い目にさんざん会いながら、
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腹一杯食べて機嫌良くそれを味わっているが、
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わたしはいくらみじめでも、
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怖い目に会わずに、オオムギやコムギを食べてのんきに暮らしていくよ」
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ビクビクしながら贅沢するよりは、質素でも、のんびり生きている方が良いのです。
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おしまい
メッセージカード (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
おまけ イメージイラスト(無断転載禁止)
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