福娘童話集 > きょうの新作昔話 >鳥の王さま選び
2023年9月25日の新作昔話
制作 「ハブルータ・Havruta」
鳥の王さま選び
こうだったらいいな!【鳥の王さま選び】~虚飾で彩られたカラス~ №4(字幕付き)
制作 「ハブルータ・Havruta」
~虚飾で彩られたカラス~
たくさんの鳥が暮らす、美しい森がありました。
水浴びをしに 池に集った鳥たちは、口々に自分の美しさを誇ります。
そんな鳥たちを横目で見ながら、カラスは「自分は仲間に入れない」と淋しそうにしていました。
ある日 神様は、鳥の王様を選ぶことにしました。
王様の条件は『最も美しいもの』ということ。
自分が最も美しいと思う姿を 見せに来るようにと、すべての鳥に伝えました。
その知らせを聞いた鳥たちは、よろこんで神様のもとに かけつけました。
クジャクが羽を広げたその姿は、優雅さと気品に満ちあふれています。
長い尾をなびかせて舞う、ケツァールの姿の、なんと幻想的なこと。
森中に響くウグイスのさえずり、オカメインコの愛くるしさ、それぞれのもつ美しさは、比べることができません。
ですが、カラスは神様からのその知らせを、よろこぶことができませんでした。
真っ黒な自分の羽を、醜いと思っていたからです。
どうしたら美しくなれるのかと森を見渡すと、他の鳥たちが落としていった 色鮮やかな羽が目にとまりました。
「そうだ、これを集めて体に貼り付けよう」
拾い集めた 色とりどりの羽で体を装い、黒い羽をすっかり隠して、カラスは神様の前に立ちました。
ですがその時、強い風が吹きつけて、羽がすっかり剥がれてしまいました。
「ああ、みんなから笑われる!」と、その場から逃げ出しました。
カラスは森の奥に隠れました。
「どうせ僕なんか・・・」
カラスは しょんぼりと うずくまっていました。
やがてあたりは薄暗くなり、夜がおとずれました。
「何故あんなことをしたんだろう・・」
嘘をついてまで、よく見られようとした自分が、恥ずかしくてなりません。
「ぼくの美しさってなんだろう・・」
神様がおっしゃった『自分が最も美しいと思う姿』について考え始めていました。
うっすらと夜が明けてきました。
長い、長い夜でした。
心配していた小鳥たちが カラスを励まそうとやって来ました。
「えさがとれない冬の日、君は食べ物を分けてくれたよね」
「私の子供がヤマネコに襲われそうになった時、命がけで追い払ってくれたわ」
「ほらね、君はそのままで とっても素敵だよ」
黒いカラスの目から、ポロリと涙が落ちました。
その時、朝日がさしこみました。
黒い羽は 陽の光を反射して 群青色に輝いたのです。
皆が、その美しさに はっとしました。
群青色に輝く羽の なんと神々しいこと。
カラスは自分の美しさに、はじめて気づいたのでした。
丁寧に羽繕いし、カラスはもう一度 神様の前に立ちました。
その顔は穏やかで、自信に満ちあふれていました。
堂々としたカラスの姿を、神様は満足そうに見つめていました。
おしまい
福娘童話集バージョン
アニメサイズ
Max 1920×1080 字幕「日本語」「英語」「中国語」を追加しました。
イラスト myi ブログ sorairoiro
イラスト 01 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
イラスト myi
美しい鳥コンテスト
むかしむかしのお話しです。
イラスト 02 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
ある日、神さまは一番美しい鳥を決める『美しい鳥コンテスト』をしようと思いつきました。
イラスト 03 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
イラスト 04 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
そして、一番美しい鳥には、鳥の王さまの位を与えようと言いました。
イラスト 05 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
それを聞いた鳥たちは大騒ぎ。
イラスト 06 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
「やっぱり、クジャクさんが一番綺麗だよ」
イラスト 07 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
「あら、スタイルが良いのは白鳥さんよ」
イラスト 08 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
「いや、鳥はやっぱり歌声が綺麗でなくちゃね。ウグイスさんが選ばれるかもしれないね」
イラスト 09 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
イラスト 10 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
みんな、わいわい言いながら、美しくなろうと一所懸命に川で羽を洗いました。
イラスト 11 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
でもカラスだけが、その仲間に入りませんでした。
カラスは、全然面白くありませんでした。
イラスト 12 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
自分があまり格好良くなくて、羽の色も歌声も綺麗じゃない事を知っていたからです。
イラスト 13 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
しょんぼり川べりを飛んでいると、みんなの抜け落ちた羽がいっぱい散らばっているのを見つけました。
イラスト 14 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
「・・・そうだ、こいつでみんなを騙してやれ」
イラスト 15 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
イラスト 16 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
カラスは色とりどりの羽を拾い集め、全部自分の体にくっつけて飾り立てました。
いよいよ、コンテストが始まりました。
イラスト 17 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
神さまは、あのカラスに目を止めました。
イラスト 18 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
「おや、あんなに美しくて珍しい鳥がいたのか。よし、あの鳥を一番にしよう」
イラスト 19 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
カラスは大喜びで、神さまの前に進み出ました。
イラスト 20 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
すると、一羽の鳥が怒り出しました。
「ずるいぞ、カラスめ! わたしの羽を返せ!」
イラスト 21 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
そう言ってカラスに飛びつき、くちばしで自分の羽を引き抜きました。
イラスト 22 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
イラスト 23 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
他の鳥たちもいっせいに腹を立て、カラスから自分の羽をむしり取りました。
イラスト 24 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
するとカラスは、前よりもみすぼらしい汚い姿になりました。
イラスト 25 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
人の物を借りていくらうわべを飾っても、すぐにばれてしまいます。
そして、それがばれるとよけいみじめになってしまう。
と、いうお話しでした。
おしまい
メッセージカード (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
|