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第 106話

豊臣秀吉の最初の主人
イラスト 龍之進  三絶堂

豊臣秀吉の最初の主人

豊臣秀吉の出世物語

 やがて天下人(てんかびと→日本のほとんどを統一した人)となる豊臣秀吉は、一五三七(天文六)年二月、愛知県の尾張国中村(おわりのくになかむら)というところで、足軽(あしがる→身分がとても低い武士)の木下弥右衛門(きのしたやえもん)の子供として生まれました。

 この頃の名前は、日吉丸(ひよしまる)です。
 日吉丸が生まれた頃の日本は、日本がいくつもの国に分かれて戦を繰り返す戦国時代で、男の子の遊びと言えば戦ごっこばかりでした。
 戦ごっことは、敵味方に分かれて相手の大将を倒す遊びです。
 頭が良くて度胸があり、動きも素早い日吉丸はいつも大将役で、いつも勝っていました。
「遊びといえ、おらに勝てる奴はいない。大人になって本当の戦に出ても、おらは勝ってやる」

 そんな日吉丸が七歳の頃、父親の弥右衛門が亡くなると家は食べる物に困り、日吉丸は村の光明寺(こうみょうじ)というお寺にあずけられました。
 お寺にいる限り食べる事には困りませんが、活発な日吉丸にはお寺での暮らしがきゅうくつで我慢出来ません。
 そして十五歳になった日吉丸は、ある決断をしました。
「このまま坊主になるか、それとも別の生き方を考えるか。
 このまま坊主になれば食うには困らんし、それなりの生き方が出来るだろう。
 頑張れば坊主の世界で、それなりに出世出来るだろう。
 だが、坊主はしょせん坊主。
 それなりの人生だ。
 どうせなら、おらはもっともっと出世がしたい。
 ・・・出世と言えば、やはり侍だな。
 おらの力なら、侍大将(さむらいだいしょう→多くの侍を指揮する国の重臣)ぐらいにはなれる。
 きっとなれるはずだ。
 よし、駿河国(するがのくに→静岡県中部)の今川義元(いまがわよしもと)様にお仕えをして、必ず侍大将になってやる!」
 行動の早い日吉丸は貯めていたお金をはたいてもめん針を仕入れると、それを売りながら今川義元のいる駿河国を目指しました。
「えー、針はいらんか。もめん針はいらんかねえ」
 ですがもめん針は思ったほど売れず、駿河国に行く途中の遠江国(とおとうみのくに→静岡県西部)まで来たときには、すっかりお金が無くなってしまいました。
「ああ、腹が減ったな。
 腹が減ったが、一粒の飯もなし。
 もめん針はあるが、こんな物を食ったら死んでしまう。
 どうせ売り歩くなら、もめん針ではなく食い物にすれば良かったかな?
 いや、食い物は重くて腐るから、軽くて小さなもめん針にしたんだよな」
 そこへ、馬に乗った侍が通りかかりました。
 その侍は今川家の松下加兵衛(まつしたかへえ)と言う人で、この人こそ日吉丸が最初に使えた主人です。
「ほう。行き倒れたサルかと思えば、一応は人であったか」
 それを聞いた日吉丸は、カチンと来て言い返しました。
「当たり前だ! おらは、立派な人間様だ。・・・まあ、確かにサルに似ているとは自分でも思うが」
「正直な奴だ。それで、その人間様がこんな所でどうした?」
「出世がしたくて寺を出たが、売り歩く物を間違えて今はこの有様だ」
「出世とは、何になるつもりだ?」
「侍大将だ! おらはいずれ、侍大将になる男だ!」
「侍大将とは、大きく出たな。
 まあ確かに、肝は据わっているし、頭も良さげだ」
 日吉丸を気に入った加兵衛が言いました。
「おい、ちゃんと働くなら飯を食わせてやるし、金もやろう。どうだ、わしについてくる気はあるか」
 飯と聞いて、日吉丸は大喜びです。
「飯! 飯ーっ! 行きます、行きます。どこへでも、まいります」
 こうして日吉丸は、天下人への第一歩を歩み出したのです。

おしまい

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