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      第 12話 
         
          
         
カッパの誕生 
       
      ※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先 
       
      制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】 
       むかしむかし、天然痘(てんねんとう)という悪い病気が流行って、多くの人々が死んでしまいました。 
 その当時、天然痘は悪い神さまがおこす病気だと言われていました。 
「このままでは、全滅してしまうぞ。何とかして、悪い神をやっつけるのだ!」 
 人々は立ち上がると、悪い神に戦いを挑みました。 
 しかし悪い神を退治するどころか、人々は反対に悪い神に病気にされてどんどん死んでしまいました。 
 そこで人々が占い師に相談したところ、占い師がこう言ったのです。 
「人間だから、病気にされるのだ。 
 人形に魂を吹き込んで、人形に戦わせればよい。 
 わしが人形に魂を吹き込んでやるから、お前たちは草で人形を作るのだ」 
 そこで人々は、草で多くの人形を作りました。 
 そして占い師がその人形たちに魂を吹き込むと、人形たちは次々と動き出して悪い神と戦ってくれたのです。 
 人形は勇敢に戦い、何とか悪い神を追い払う事が出来ました。 
 そのおかげで天然痘は、少しずつ収まっていったのです。 
 
 人々は悪い神と戦って死んだ人形たちに感謝しながら、死んだ人形を川に流しました。 
 でもその人形の中には、まだ魂の残っていた人形がいくつかあったのです。 
 やがてその生きた人形は川に住む妖怪となり、人々からカッパと呼ばれるようになりました。 
 こうしてカッパは、この世に生まれたのです。 
 
 むかしからカッパは手を引っ張ると簡単に抜けてしまう
      と言われていますが、それはカッパが草で作られた人形だったからです。 
      おしまい 
           
             
         
          
          
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