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福娘童話集 > きょうの百物語 > その他の百物語 >外法人形
第 15話
外法人形
むかしむかし、男が川でぼんやりしていると、川上から板きれに乗った人形が流れてきました。
それは小さな女の子の姿をした、とても可愛らしい人形です。
「人形か、子どもに持って帰るとしよう」
男がその人形を拾い上げようとすると、人形が突然口を開いて言いました。
「明日は、どこどこの年寄りが死ぬだろう。そして誰々がなくした物は、高い所から出てくるだろう」
しゃべる人形に男はびっくりしましたが、人形を拾い上げると言いました。
「ははーん。確かこれは祈祷師が占いに使う外法人形というやつだな。良い物を拾ったぞ」
男は面白がって人形に色々な事を占わせていましたが、人形は夜通ししゃべり続けるので、うるさくてかないません。
男は人形をどこかに捨てようかとも思いましたが、不思議な力のある人形をむやみに捨てたりしては、たたりがあるかもしれません。
そこで男は、知り合いの物知りじいさんに相談してみました。
すると物知りじいさんは、男にこう教えてくれました。
「それなら拾った時と同じように板に乗せて、拾ってきた川に流すといいだろう。
そして流すときは川を背にして立ち、後ろ手に板きれを川に浮かべて、いつ流したとも知らぬうちに手を放しなさい。
後はそのまま、後ろを見ずに立ちさればよい。
さすれば、たたられる事はない」
そこで男は言われた通りに、人形を川へ流しました。
物知りじいさんの言葉通り、男に何も悪い事は起きませんでした。
おしまい
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