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福娘童話集 > きょうの百物語 > その他の百物語 >ネコとカボチャ
第 24話
ネコとカボチャ
むかしむかし、ある農家で飼われていたニワトリが、急にバタバタと騒ぎ出しました。
飼い主のお百姓がいくら叱ってもニワトリは騒ぐのをやめないので、腹を立てた百姓はそのニワトリを山に捨てました。
それから数日後、旅のお坊さんがお百姓の家にやって来て、こう言うのです。
「山でニワトリを拾いましたが、ニワトリはこの家のニワトリですかな?
わしが通りかかるとニワトリが『ネコが旦那さんを殺して食う』と鳴くので、あわてて様子を見に来たのです」
「はい、確かにニワトリを山に捨てましたし、家にはネコもいます。
でも、ネコが人を食うなんて」
お百姓は笑って答えましたが、でも気になったので、こっそりネコの様子を見ていました。
夜中になるとネコは竹やぶに行って、真っ赤な毒キノコに自分の尻尾をこすりつけます。
そして家に帰って来ると、みそ汁の入った鍋の中に毒キノコをこすりつけた尻尾を入れて、何度も何度もかき回すのです。
「大変だ。お坊さんの言う事は本当だった。ネコはおらを殺すつもりだ。長い事、可愛がってやったのに」
お百姓は仕方なくネコを殺すと、畑のすみに埋めたのです。
それからしばらくすると、ネコを埋めた畑からおいしそうなカボチャが生えてきました。
「ほう、うまそうなカボチャじゃ。いつの間に生えたのだろう? まあいい、今夜はカボチャを食うとするか」
するとそこへ、あの時のお坊さんが現れて言いました。
「こちらで、カボチャを作っておられるかな? あの時のニワトリが『カボチャを食うな』と鳴くので、あわてて様子を見に来たのです」
「はい、確かにカボチャが、うちの畑に生えています」
そこでお百姓とお坊さんは畑に行って、カボチャのつるを引き抜いてみました。
するとカボチャの根っこは、殺して埋めたネコの目玉から生えていたのです。
その後、お百姓はお坊さんに言われて猫の墓を作り、カボチャは全て燃やしたという事です。
おしまい
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