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第 66話
万満寺の大蛇伝説
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むかしむかし、千葉県松戸市馬橋の万満寺(まんまんじ)というお寺に、とても心優しい和尚さんがいました。
この和尚さんは人間だけでなく鳥や動物にも優しかったので、鳥や動物たちも和尚さんの事が大好きでした。
この万満寺の裏にある池には一匹の大蛇が住んでいますが、大蛇も和尚さんが大好きです。
ある日の事、大蛇が池の側で昼寝をしているお寺のお客さんを見つけました。
(よく太って、うまそうな人間だ)
大蛇は思わず大きな口を開けると、お客さんを飲み込もうとしたのです。
それを、和尚さんが見つけました。
「こら! 何をしている!」
怒った和尚さんは、大蛇を近くに流れる江戸川へと追い払いました。
お寺を追い出された大蛇は、深く反省しました。
(いつも優しくしてくれた和尚さんのお客さんを食べようなんて、わたしは何て悪い蛇なんだ)
そして川の上からお寺の方を眺めては、
(和尚さんに会いたいな。お寺へ帰りたいな)
と、涙を流すようになったのです。
そして江戸川を行き来する舟に万満寺のある馬橋の人が乗っていると、大蛇は懐かしさのあまり舟にからみついて舟を止めてしまうのです。
舟を漕ぐ船頭さんは舟が急に進まなくなると、
「この中に、馬橋の人はいるかね?」
と、尋ね、そして馬橋に住んでいる人がいると頼みます。
「すまないが、持っている手ぬぐいを川に投げてやってくれ」
そこで馬橋の人が持っている手ぬぐいを川に投げ入れると、大蛇は馬橋の人が持っていた手ぬぐいを懐かしそうにくわえて川底に潜って行くのでした。
江戸川ではしばらくの間、こういうことが続いたそうです。
おしまい
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