小話とは?
・小話の誕生
江戸時代の江戸は当時の世界最大の都市として、たいへんにぎわっておりました。
その頃、庶民のあいだで人気のあった娯楽の一つが、ここに掲載されている小話です。
小話のルーツは、江戸初期に発売された笑い話集の「醒睡笑(せいすいしょう)」だと言われています。
お金がかからず、手軽に楽しめる笑い話は、江戸庶民に喜ばれました。
しかし、このころの小話は、ただの笑い話で、いまの小話のようなオチはありませんでした。
その後、小話は大人気の娯楽だった落語に取り入れられると、話にオチがつくようになり、大ブレイクしたのです。
今でも小話は、落語のまくらやオチとしてつかわれ、落語とは切っても切れない関係にあります。
いまある小話は、江戸で生まれましたが、江戸だけでなく大阪や京都でも発展しました。
それらは、江戸時代に作られたことから、ひっくるめて「江戸小話」と呼ばれています。
小話の特徴は、文字通り小さな(短い)話です。
小話の中には、話の長い物もありますが、当時は、まだまだ字を読み書きできる人が少なかったため、一度きいて簡単に覚えられる程度の話が人気でした。
また、殿さまやサムライ、農民からこじきまで、幅広い身分の人物が登場するのも特徴です。
当時は身分の差がハッキリしており、身分の低い者が身分の高い者を非難することはできませんでした。
そこで、日頃のうさ晴らしとして、小話には、お間抜けな殿さまやサムライが数多く登場します。
一説には、現在確認される小話の数は、四万を超えると言われています。
当サイトの「きょうの小話」に全て掲載するとすれば、百年を超えるボリュームです。
そして、その8割以上が、江戸時代に作られたと言われていますから、江戸時代の人々が、どれだけ小話を愛していたかがうかがえます。