福娘童話集 > きょうの世界昔話 > その他の世界昔話 >カエルには、尻尾がない理由
第153話
カエルには、尻尾がない理由
アメリカの昔話 → アメリカの情報
むかしむかし、オタマジャクシは大きくなっても同じ姿のままで、カエルにはなりませんでした。
でも、今のオタマジャクシは大人になると尻尾が無くなり、その代わりに手足が生えてカエルになります。
どうして、オタマジャクシはカエルになるようになったのでしょうか?
それには、こんな理由があったのです。
ある日の事、神さまがオタマジャクシたちを呼んで言いました。
「お前たちは、いつも水辺で遊んでばかりだな。たまにはトウモロコシ畑へ行って、草むしりでもしなさい」
「はーい」
オタマジャクシたちはトウモロコシ畑へ行くと、せっせと草むしりを始めました。
でも2~3分であきてしまい、草むしりを止めてしまいました。
「ねえ、水辺へ行って水遊びをしようよ」
「いいねえ。自慢の尻尾で、思いっ切り泳ごう」
「でも、草むしりをさぼると、神さまに叱られないかな?」
「う~ん、たしかに」
オタマジャクシたちが話していると、そこへ悪魔が通りかかって言いました。
「何を悩んでいるんだい? 遊びたい時は、仕事なんて忘れて思いっ切り遊ばないと。水遊びがしたいのなら、良い小川があるからついておいでよ」
オタマジャクシたちが悪魔についていくと、そこにはとてもきれいな小川がありました。
「わー、きれいな小川だな」
「ぼくが一番!」
「ああ、ずるいぞ」
オタマジャクシたちは次々と小川に飛び込んで、わいわいと水遊びを始めました。
さて、トウモロコシ畑に様子を見に行った神さまは、オタマジャクシたちが近くの小川で遊んでいるのを見てとても怒りました。
「こら! 仕事をさぼって、何を遊んでいる!」
「あっ、神さま! ・・・ごめんなさい。つい、自慢の尻尾で泳ぎたくて」
「自慢の尻尾だと。そんな体の半分もある大きな尻尾を持っているから、水遊びがしたくなるのだ!」
神さまはそう言うと、大きなハサミでオタマジャクシたちの尻尾をちょん切ってしまいました。
こうなるとオタマジャクシには、丸い体しか残りません。
そこでオタマジャクシたちは、神さまに泣いて頼みました。
「尻尾の無い丸い体では、動く事も出来ません。どうか、尻尾を返して下さい」
確かに尻尾の無くなった丸い体では、コロコロ転がるのが精一杯です。
ちょっとやり過ぎたと思った神さまは、オタマジャクシたちにこう言いました。
「それでは、お前たちが子どもの間は、長い尻尾で水遊びをするのを許してやろう。しかし、大人になったら尻尾の代わりに手足が生える様にしてやるから、大人になったらまじめに働くのだよ」
こうしてオタマジャクシは、大人になると尻尾の代わりに手足が生えてカエルになるのです。
おしまい
|