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9月5日のイソップ童話
笛を吹く漁師
笛のじょうずな漁師が、笛とアミを持って海にいきました。
そして、つきでた岩にすわって笛を取り出すと、楽しい曲を吹き始めました。
魚たちがその曲につられて、水からおどりあがってくるだろうと思ったからです。
でも、いくらいっしょうけんめい吹いてみても、魚はあらわません。
さんざんためした後で、漁師は笛をわきにおくと、こんどはアミを取り出してポイッと海に投げ込みました。
たちまち、魚はたくさんかかりました。
漁師が岩の上にアミの中の魚をおくと、魚はピチピチとはね回っています。
それを見て、漁師がさけびました。
「いまいましいやつらだ。おれが笛を吹いてやったときは、ちっともおどらなかったくせに、笛をやめたらおどり出すなんて」
これは、けんとうはずれなやりかたをしているのに、それには気づかず、そのしっぱいを他人のせいにする人のお話です。
おしまい