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9月8日のイソップ童話
子ヤギと笛を吹くオオカミ
一ぴきの子ヤギが、なかまにおいてきぼりにされていたところを、オオカミにみつかって、追いかけられました。
逃げながら、子ヤギはオオカミのほうにふりむいて、いいました。
「ぼくが、あなたに食べられてしまうはずだってことは、よくわかっていますよ。でも、ぼくとしては、ただ食い殺されてしまうのは、あんまりなさけないから、せめて死ぬ前に、あなたが笛を吹いて、ひとつおどらせてくれませんか」
そこでオオカミは笛を吹いて、子ヤギをおどらせてやりました。
ところが、そのさいちゅうに、イヌたちが笛の音を聞きつけて、あつまってきました。
そして、いっせいにオオカミを追いかけました。
オオカミは、あわてて逃げながら、子ヤギにいいました。
「おれがバカだったんだ。肉屋のくせに音楽家のまねをしたから、いけないんだ」
このように、いますぐやらなければいけないことをわすれて、あとさきの考えもなしにほかのことをすると、せっかく手に入れたものも、失うようなことになります。
おしまい