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12月10日のイソップ童話
ネコとネズミ
ある家にネズミがたくさんいました。
ネコがそれを聞きつけて、やってきました。
そして、出てくるネズミを次から次へと食べました。
ネズミは出て行ったなかまがみんな食べられたので、穴の奥に逃げこんでかくれていることにしました。
「はて、穴に逃げこまれては手がとどかない。どうしたらやつらをおびき出せるかな」
と、ネコは頭をひねって考えました。
「そうだ」
ネコが考えたのは、天井によじのぼって、つきでた木組みにぶらさがり、死んだまねをすることでした。
こうして待っていれば、ネズミが出てくると思ったのです。
しかし、ネズミの中の一ぴきが穴から首を出して、ぶら下がっているネコを見てこう言いました。
「おい、ネコのダンナ。たとえあんたが革袋にばけたって、おれはそばへはいかないぜ」
この話は、かしこい人というものは、あいてが悪い人だとわかった後は、その人がどんなにうわべをとりつくろってみても、決してだまされないということをたとえています。
おしまい