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7月8日の小話
風呂
風呂(ふろ)を知らない村の話でございます。
村の金持ちが江戸見物にいき、ひとにすすめられて、風呂おけを一つ、買ってまいりました。
村のひとたちは、風呂おけというものをみたこともないので、みんなで見物にやってきました。
中のひとりが、
「風呂とは、よいものでござるか?」
と、ききますと、金持ちの男は、
「よいものではござるが、ただ一つの欠点は、水がわくまでは、冷たくてな。温まる前に、かぜをひいてしまう」
おしまい