きょうの日本昔話
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1月22日の日本の昔話

雪女

雪女

 むかしむかしの、寒い寒い北国でのお話です。
 あるところに、茂作(しげさく)とおの吉という、きこりの親子がすんでいました。
 この親子、山がすっぽり雪につつまれるころになると、てっぽうを持ってりょうに出かけていくのです。
 ある日のこと、親子はいつものように雪山へ入っていきましたが、いつのまにか、空は黒雲におおわれ、冬山は人をよせつけぬかのように、あばれはじめました。
 ふきすさぶ吹雪(ふぶき)は、のぼってきた足あとをかき消してしまいます。
 二人はやっと、きこり小屋を見つけました。
「今夜はここでとまるより、しかたあるめえ」
「うんだなあ」
 チロチロともえるいろりの火にあたりながら、二人は昼間のつかれからか、いつのまにかねむりこんでしまったのです。
 風のいきおいで、戸がガタンと開き、雪がまいこんできました。
 そして、いろりの火が、フッと消えました。
「う〜、寒い」
 あまりの寒さに目をさましたおの吉は、そのとき、人かげを見たのです。
「だれじゃ、そこにおるのは?」
 そこにすがたをあらわしたのは、若く美しい女の人でした。
 雪女(ゆきおんな→詳細)です!
 雪女は、ねむっている茂作のそばに立つと、口から白い息をはきました。
 茂作の顔に白い息がかかると、茂作の体はだんだんと白くかわっていきます。
 そして、ねむったまま、しずかに息をひきとっていきました。
 雪女は、こんどはおの吉のほうへちかづいてきます。
「た、助けてくれ!」
 ひっしでにげようとするおの吉に、なぜか雪女はやさしくいいました。
「そなたはまだわかわかしく、命がかがやいています。助けてあげましょう。でも、今夜のことを、もしもだれかに話したら、そのときは、そなたの美しい命はおわってしまいましょう」
 そういうと、雪女はふりしきる雪の中にすいこまれるように、消えてしまいました。
 おの吉は、そのまま気をうしなってしまいます。
 やがて朝になり、目がさめたおの吉は、父の茂作がこごえ死んでいるのを見つけたのです。
 それから、一年がたちました。
 ある大雨の日、おの吉の家の前に、一人の女の人が立っていました。
「雨でこまっておいでじゃろう」
 気だてのいいおの吉は、女の人を家に入れてやりました。
 女の人は、お雪という名でした。
 おの吉とお雪は夫婦になり、何年もしあわせな月日が流れていきました。
 かわいい子どもにもめぐまれた二人は、それはそれは、しあわせでした。
 けれど、ちょっと心配なのは、暑い日ざしをうけると、お雪はフラフラとたおれてしまうことです。
 でも、やさしいおの吉は、そんなお雪をしっかり助けて、なかよくくらしていました。
 そんなある日、はり仕事をしているお雪の横顔を見て、おの吉は、ふっと遠い日のことを思い出したのです。
「のう、お雪。わしは以前におまえのように美しいおなごを見たことがある。おまえとそっくりじゃった。山でふぶきにあっての。そのときじゃ、あれは、たしか雪女」
 ここまでいったときでした。
「あなた、とうとう話してしまったのね。あれほどやくそくしたのに」
 お雪が、悲しそうにいいました。
「どうしたんだ、お雪!」
 お雪の着物は、いつのまにか白くかわっています。
 あの夜のことを話されたからには、お雪はもう、人間でいることができないのです。
「あなたのことは、いつまでもわすれない。とてもしあわせでした。さようなら」
 そのとき、戸がバタンと開いて、つめたい風がふきこんできました。
 そして、お雪のすがたは消えたのです。

おしまい

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