4月15日の日本の昔話
カモとりごんべえ
むかしむかし、あるところに、カモ(→詳細)とりのごんべえさんという人がいました。
ある朝、ごんべえさんは、近くの池へいってみてビックリ。
しかけておいたワナに、かぞえきれないほどのカモが、かかっていたのです。
おまけに、池に氷が張っているので、カモたちは動けずにいるようす。
「しめしめ。ここで待っていれば、もっとつかまえられるにちがいない」
ごんべえさんは、大喜びで、ワナのアミを集めると、見はりをはじめました。
そのとき、お日さまが顔を出して、池の氷がスーと、とけはじめました。
「おっと、大変」
あわてたときは、もうおそく、目をさましたカモたちが、バタバタバタと飛び立ち、それといっしょにごんべえさんも、カモたちに引っぱられて、空へ舞いあがってしまいました。
カモたちはごんべえさんをぶらさげたまま、野をこえ、山をこえ、谷をこえ。
「たっ、たすけてくれー!」
叫んでいるうちに、うっかりアミをはなしてしまったから、大変です。
ごんベえさんは、まっさかさまに空から落っこちると、畑で働いていたお百姓(ひゃくしょう→詳細)さんの前へ、ドスン!
「なになに、カモをつかまえようとして、反対にさらわれたって?」
話を聞いたお百姓さんは、気のどくに思って、
「どうだい、ここでしばらく、くらしていっては」
「はい、よろしくお願いします」
つぎの日から、ごんべえさんは畑をたがやしたり、種をまいたり、一生けんめいに働きました。
そんなある日、アワ畑で刈り入れをしていると、三本だけ、特別に大きな穂をつけたアワがありました。
「ようし、こいつを刈ってやれ」
手元へ引き寄せて、穂を刈ろうとしたとたん、くきがバネのようにビョーンと、はね返ったから大変です。
ごんべえさんは、ピューと飛ばされて、遠く離れたかさ屋のお店の前へ、ドスン!
「なになに、アワを刈ろうとして、飛ばされたって?」
話を聞いたかさ屋の主人も、気のどくに思って、
「それでは、しばらくここで働いて、お金をかせいでいくがいい」
「はい、よろしくお願いします」
ごんべえさんは、お店の手伝いをして、せっせと働きはじめました。
そんなある日、できあがったかさをほそうとしていると、風がピューとふいてきました。
ごんベえさんは、あっというまに吹き飛ばされて、またまた空の上です。
「なんだって、こう、飛ばされてばかりいなけりゃならないんだ」
ブツブツいいながら飛ばされていくうちに、屋根のような所に足がつきました。
「フー、やれやれ、助かった。だれかさんの家の上におりたらしいぞ。・・・へぇ!?」
ところがそこは、なんと、お寺の五重の塔のてっペんだったのです。
さあ、ごんべえさんがおどろいたのなんの。
「たっ、たすけてくれー!」
そこへ走ってきたのが、四人のお坊さん。
持ってきたふとんを広げると、
「おーい、だいじょうぶかー? ここへ飛びおりろー」
「やだ、やだ。こわいようー」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。しっかり持っているから、はやく飛びおりろー」
こうなったら、しかたありません。
「よっ、ようし。飛びおりるぞう。それ、一、二の三!」
ドスン!
ごんべえさんは、みごと、ふとんのまん中へ飛びおりました。
しかし、そのひょうしにお坊さんたちの頭がゴッツンコして、目から火花が飛び出しました。
そして、その火花があたりへ飛んで、五重の塔が焼け、お寺が焼け、なにもかもが残らず焼けてしまいました。
おしまい
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