11月1日の日本の昔話
サルカニ合戦
むかしむかし、カキの種を拾ったサルが、おいしそうなおにぎりを持ったカニに、バッタリと出会いました。
サルはカニのおにぎりが欲しくなり、カニにずるいことを言いました。
「このカキの種をまけば、毎年おいしい実がなるよ。どうだい、おにぎりと交換してあげようか?」
「うん、ありがとう」
カニは大喜びで家に帰り、さっそく種をまきました。
そして、せっせと水をやりながら、
♪早く芽を出せ、カキの種
♪早く芽を出せ、カキの種
♪出さねばはさみで、ほじくるぞ
するとどうでしょう。
さっきまいた種から芽が出てきて、ぐんぐん大きくなりました。
♪早く実がなれ、カキの木よ
♪早く実がなれ、カキの木よ
♪ならねばはさみで、ちょん切るぞ
こんどはカキの木に、たくさんのカキが実りました。
ところが、カニは木登りが出来ません。
「どうしよう?」
困っていると、さっきのサルがやってきました。
「ありゃ、もうカキが実ったのか。よしよし、おいらが代わりにとってやろう」
サルはスルスルと木に登ると、自分だけ赤いカキの実を食べ始めました。
「ずるいよサルさん、わたしにもカキを下さい」
「うるさい、これでもくらえ!」
サルはカニに、まだ青くて固いカキの実をぶつけました。
「いたい、いたい、サルさんずるい」
カニは大けがをして、家に帰りました。
そして、見舞いに来た友達の臼(うす→もちをつくるどうぐ)とハチとクリにその事を話しました。
話しを聞いたみんなは、カンカンに怒りました。
「ようし、みんなであのサルをこらしめてやろう」
みんなはさっそくサルの家に行き、こっそりかくれてサルの帰りを待ちました。
「おお、さむい、さむい」
ふるえながら帰ってきたサルが、いろりにあたろうとしたとたん、いろりにかくれていたクリがパチーンとはじけて、サルのお尻にぶつかりました。
「あちちちっ、水だ、水」
お尻を冷やそうと水瓶(みずがめ)のところへ来ると、水瓶にかくれていたハチにチクチクと刺されました。
「いたいっ、いたいよう、たすけてぇー!」
たまらず外へ逃げ出すと、屋根の上から大きな臼が落ちてきました。
「ドスーン!」
「わぁー、ごめんなさい、もう意地悪はしないから、ゆるしてくださーい!」
それから改心(かいしん)したサルは、みんなと仲良くなりました。
おしまい
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