きょうの日本昔話
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12月15日の日本の昔話

うり子姫

うり子姫

 むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
 ある日、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗たくにいきました。
 おばあさんが、いつものように川で洗たくをしていますと、向こうから、ドンブラコ、ドンブラコと、大きなうりが流れてきます。
「おやおや、なんて大きなうりだろう。うちへ持って帰って、おじいさんとふたりで食ベましょう」
と、うりをひろいあげて、うちへ持って帰りました。
 おじいさんが、ほうちょうで切ろうとしますと、うりはパカッと、ひとりでにわれて、中からかわいらしい女の子が飛び出してきました。
「おや?」
「まあ!」
と、ふたりはビックリ。
 子どものいないおじいさんとおばあさんは、大喜びです。
 うりの中から生まれたので、名まえも、うり子姫と名づけて、たいそうかわいがって育てました。
 うり子姫は、ますますかわいらしく、けしの花のような美しい娘になりました。
 国のお殿さまが、お嫁にほしいといってくるほどです。
 うり子姫は、機(はた)をおるのがたいへんじょうずで、毎日毎日、楽しそうに機おりをしながら、おじいさんとおばあさんの帰るのを待っているのでした。
 ある日のこと、うり子姫がいつものように、ひとりで機をおっていますと、
「もしもし、かわいいうり子姫や、この戸をあけておくれ。おまえのじょうずな機おりを見せてほしいのさ」
と、やさしそうな声で、戸をたたく者があります。
 けれども、うり子姫はいいました。
「いいえ、いけません。もしかすると、あまのじゃくという悪者がくるかもしれないから。だれがきても、けっして戸をあけてはいけないと、おじいさんにいわれているのです」
「おやおや、あまのじゃくが、こんなやさしい声を出すものかね。ほんの少しあけておくれ。指が入るだけでいいからさ」
 それでうり子姫は、
「そんなら、指が入るだけ」
と、ほんの少し戸をあけました。
「おやまあ、もう少しおまけしておくれな、ね。この手が入るだけでいいのさ」
「そんなら、手が入るだけ」
と、うり子姫は、また少し戸をあけました。
「おやまあ、もう少しおまけしておくれな、ね。この頭が入るだけでいいのさ」
「そんなら、頭がは入るだけ」
 とうとう、戸のすきまから頭をつき出したあまのじゃくは、スルリと家の中へ入ってしまいました。
 そして、うり子姫に飛びかかって着物をはぎ取ると、裏山のカキの木にしばりつけてしまいました。
 それからあまのじゃくは、うり子姫の着物を着て、うり子姫に化けて機おりをはじめます。
 まもなく、
「うり子姫や、さびしかったろう」
と、おじいさんとおばあさんが帰ってきました。
 あまのじゃくは、知らん顔で、
「ええ、ええ、さびしかったわ」
と、やさしいつくり声で答えました。
 そのとき、にわかに家の前がさわがしくなりました。
 うり子姫をお嫁にもらいに、お殿さまのカゴ(→詳細)がむかえにきたのです。
 なにも知らないおじいさんとおばあさんは、たいそう喜んで、あまのじゃくをカゴに乗せました。
 カゴの行列は、だんだんに裏山を登っていきました。
 すると、カキの木のてっペんで、カラスが鳴きだしました。
♪カー、カー、カー、カー、かわいそう。
♪うり子姫は、木の上で。
♪おカゴの中は、あまのじゃく。
「おやっ?」
と、みんなは、うり子姫のしばりつけられているカキの木を見あげました。
 あまのじゃくは、すぐさまカゴからひきずり出されて、首を切られました。
 そうして、ほんとうのうり子姫は、カゴに乗って無事にお城へお嫁にいったのです。

おしまい

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