1月31日の小話
あんどん
日がくれて、うす暗くなってまいりました。
おくの間からだんなが、
「これこれ、長吉(ちょうきち)どん。用があるから早くきてくれ」
と、よぶ声がします。
「はい」
長吉は、あわてて走り出したひょうしに、そばにあったあんどん(むかしの照明 →詳細)にぶつかり、あんどんの火を消してしまったから、あたりはまっ暗です。
それを見ただんなは、
「まったく、いつもいつも。どうしてそう、注意が足りないのだ。おまえのようなあわて者は、めったやたらにはおらんぞ!」
と、しかると、長吉どんは、ふくれっつらで、
「あっしが悪いのではありません。このように、まっ暗いところに置いておくのが悪いのです」
「まっ暗にしたのは、お前だろう」
おしまい
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