4月29日の小話
あててみな
十字路の、ひとどおりのにぎやかなところに、易者(えきしゃ→占い師)が店を出しておりました。
その前を、今日はどういうわけか、おおぜいの子どもがこままわしをして遊んでおります。
「いまいましい子どもめ、どこかよそで遊べばいいのに」
と、易者。
にが虫をかみつぶしたような顔をして、子どもをにらんでおりますと、向こうから男がやってきて、子どもにききました。
「これ、このへんに、易者がいたはずだが、どこいらであったかな?」
すると、子どもたちは、
「うらないに用なら、あっちのほうが上手だよ。あっちへいきな」
と、来た客をおいかえします。
それをきいた易者は、かんかんにおこって。
「こりゃ、がきども! よくも、商売のじゃまをしてくれたな。親にいいつけてやるから、どこの子か、いえ!」
すると、子どもたちは、
「易者じゃろ。それくらい、あててみな」
「ええい、それができるくらいなら、ちゃんとした店をかまえておるわい」
おしまい
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