7月26日の小話
ろうそくちくわ
むかし、へんぴな村に住んでいる男が、まちに出て、うまれて初めて、ちくわを食べました。
たいへんうまいものでしたが、名前がわかりません。
それでも、村に帰って、みんなにじまんしました。
「まるくて、ほそくて、中にしんがあって(ちくわとは、竹輪と書き、竹にちくわのもとを巻いて焼きます。この場合のしんとは、その竹のことです)、白いもんだ」
これをきいた男が、自分も食べたくなって、まちへさがしに行きました。
「まるくて、ほそくて、中にしんのある、白いものですな。じゃあ、これでしょう」
みせのひとは、ろうそくをさし出しました。
さっそく食べてみたのですが、うまくもなんともありません。
中から、ほそいひもが出てきました。
このことを、村へかえってはなすと、
「おまえが食ったのは、ろうそくといって、もえるものだ。すぐに水を飲まんと、はらがもえだすぞ」
「なにっ、それはたいへん!」
男はあわてて、池に飛びこんで、水をがぶがぶ飲んだそうです。
おしまい
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