10月14日の小話
ちょうちん
あるお店で、田舎からこぞうをひとり、やといました。
このこぞう、まだ、ちょうちん(→詳細)の使いかたを知りません。
ある夜のこと、主人が出かけることになり、こぞうにちょうちんを持たせて、おともにつれてまいりました。
知りあいの家につくと、主人がざしきへあがったのに、こぞうは、まだちょうちんを持ったまま、げんかん先でまごまごしております。
女中(じょちゅう→住み込みのお手伝いさん)が、
「おとものかたも、どうぞあがってください」
と、いうと、こぞうは、
「それでは、火ふき竹を貸して」
と、かまどにつかう火ふき竹をかりて、ちょうちんの火を消し、そのまま大切にさげております。
「おや、ちょうちんは、たたんで下においたらどうです」
と、いわれると、こぞうは、
「めっそうもない。そんなことをしたら、大事なちょうちんに、しわがよります」
おしまい
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