2月24日の日本民話
爺婆かぼちゃ
三重県の民話
むかしむかし、ある村にうつくしい娘が一人で住んでいました。
「ああ、おじいさんとおばあさんが欲しいなあ」
と、いつも思っていました。
ある日の事、娘がカボチャ畑に立っていると、裏山からガラガラドスン! と、一匹の鬼が落ちてきました。
鬼は頭や腰を強く打ったので、
「痛い、痛い」
と、泣いていましたが、村人たちはこわくて、だれも鬼のそばへ寄りません。
でも、ただ娘だけが赤い帯(おび)をビリビリとさいて、痛いところに巻いてあげたのです。
それから家へ連れていき、鬼にごちそうをたくさん食べさせてあげました。
すると鬼は、
「これはうまい、うまい」
と、腹いっぱい食べてから、
「お前はなかなか親切なよい娘じゃ。このこづちをお前にやるから、これでかぼちゃをたたいてみるがよい」
と、いったのです。
「ありがとう」
娘は鬼にお礼をいうと、急いでかぼちゃ畑へ行って、鬼のいったように一番大きなかぼちゃをそっとたたくと、
ボコン!
と、音がしてかぼちゃが二つに割れて、なんと中からおじいさんとおばあさんがニコニコ笑いながら出てきたのです。
そして、
「すまないが、わしらをお前の家においてくれんかのう?」
と、いいました。
もちろん、娘は大喜びです。
それからは、おじいさんとおばあさんと三人仲よく暮したという事です。
おしまい
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