3月23日の日本民話
スズメとキツツキ
福井県の民話
むかしむかし、スズメのお母さんが重い病気になって、今にも死にそうだという知らせがありました。
「そりゃ、たいへんだ!」
ビックリした息子のスズメは、普段着のままで、大あわてでお母さんのところへかけつけました。
仕事の途中で来たので、顔はドロだらけです。
でも、元気な息子の顔を見たお母さんは、
「よくきてくれたね。ありがとう」
と、言ってよろこび、死にそうだった病気までよくなったのです。
このことを知った神さまは、
「なんて、感心なスズメだ」
と、言って、虫のほかにも、人間と同じお米を食べることを許してくれたのです。
そればかりか、人間の住んでいる近くでも、くらせるようにしてくれました。
さて今度は、キツツキのお母さんが重い病気になり、今にも死にそうだという知らせがありました。
でもキツツキはとってもおしゃれな娘で、毎日毎日遊んでばかりいます。
ですから、その知らせを聞いたのも夜になってからでした。
(ふーん、そうなの。でもまあ、まだ死んだわけではないから大丈夫ね。それよりも、きっと近所の鳥たちもお見まいに来ているから、わたしのきれいなところを見せなくちゃ)
キツツキは、おしろいをつけたり、べにをつけたりと、いつもよりていねいにおけしょうして、一番上等の着物を着て出かけました。
でも気の毒に、お母さんは娘が来るのが待ちきれずに、死んでしまいました。
さて、それを知った神さまはカンカンに怒りました。
「母親よりも自分が大事だなんて、なんてひどい娘だ!」
そしてバツとして、木の中の虫しか食べられないようにしたのです。
そればかりか、山の中でしかくらせなくしました。
だからスズメは今でも自由にどこへでも飛んでいき、おいしいお米まで食べられるのに、キツツキは山の中にいて、木に穴を開けなければ虫を食べることができず、夜になるとくちばしが痛いと言って、ないているという事です。
おしまい
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