4月20日の日本民話
養老の滝
岐阜県の民話
むかしむかし、美濃の国(みののくに→岐阜県)の山里に、たいへん親孝行(おやこうこう)な若者がおりました。
貧乏で、毎日の食べる物にも不自由する暮らしでしたが、年とった父親のために一生けんめい働いて、おいしいものを食べてもらい、少しでも長生きをしてもらおうと思っていました。
その父親は何よりもお酒が好きでしたが、しかし、米を買うお金さえろくにかせげないので、お酒などめったに手に入れる事はできません。
それでも息子は、父親がお酒を飲むときのしあわせそうなようすを思い浮かべると、なんとかしてあげたいと、奥山にわけ入ってたきぎをとるのでした。
そんなある日、若者は岩から足をふみはずして、あっというまに谷底へころがり落ちてしまいました。
気を失ってしばらくすると、のどがかわいて目をさましました。
「ああ、水が飲みたい」
体を起こしてあたりを見ると、岩かげから水の音が聞こえてきます。
「ありがたい。川があるようだ」
若者がかけよると、そこには見上げるばかりの滝が、しぶきを立てて流れ落ちていたのです。
若者は足もとに泡立つ水を手にすくって、口にふくみました。
「むむっ。これは!」
なんとそれはただの水ではなく、これまで飲んだこともないような、かぐわしいお酒だったのです。
「ああ、ありがたいことだ。これを持ち帰れば、おとうがどんなに喜ぶことか」
若者は腰にさげたひょうたんにお酒をくみとると、いそいで家に帰りました。
「遅かったな。お前の身の上になにかあったかと、心配しとったよ」
息子はニコニコしながらうなづくと、ひょうたんのお酒を父親に差し出しました。
「なんだこれは、水か? ・・・うむ! これはうまい!」
一口飲んだ父親は、目を丸くしました。
「こんなにかぐわしい酒を、わしはこれまで飲んだことがないぞ。いったいどこで手に入れたんじゃ」
息子は山奥で起きたふしぎなできごとを話して聞かせると、父親はいいました。
「それは、お前がいつも親孝行をしてくれるので、神さまがごほうびにくださったのだよ」
この話はまもなく、奈良の都の天皇(てんのう)の耳に伝わりました。
天皇はたいそう感心すると、若者に山ほどのほうびをくださり、そればかりか年号を「養老(ようろう)」とあらため、滝に「養老の滝」という名をさずけたという事です。
おしまい
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