きょうの日本民話
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2009年 1月10日の新作昔話
鴻(こう)の湯の由来
兵庫県の民話
今から千三百年以上もむかし、湯島(ゆしま)の里の、大たに川の上流に、仲のいい夫婦の鴻(こう→大きな鳥という意味)のツルが巣を作っていました。
ところがある日のこと、そのうちの一羽が足に怪我をして、エサを探しにも行けず毎日しょんぼりとしていました。
そんなある日、けがをした鴻のツルが、巣近くの田んぼの中におりて立っているのを、ある百姓が見ました。
くる日もくる日も、そのツルはいつも同じ場所におりてきては、ずっと立っているのです。
そして不思議なことに、そこに立つようになってから、鴻(こう)のツルは一日一日と元気をとり戻し、やがて足の傷もすっかり治って、元通り元気になったのです。
「ありゃ? どうしたことだ。きっとあの場所には何かあるぞ」
百姓がツルの毎日立っていた所を調べてみると、その田んぼの中からは熱い湯が湯気を立ててわき出ているではありませんか。
村のみんなは大喜びで、さっそくそこに小屋をたてました。
そして毎日仕事が終わると、湯につかりに来たそうです。
そしてこの湯につかると疲れもとれて、傷にもよく効くのです。
人々はいつしかこの湯を、「鴻(こう)の湯」と呼びました。
今でも、温泉の町で有名な城崎(きのさき)から奥に入った静かな所にある「鴻の湯」に、疲れや傷をいやしに来る人がいるそうです。
おしまい
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