きょうの日本民話
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2008年 11月15日の新作昔話
伐株山(きりかぶやま)
大分県の民話
むかしむかし、玖珠盆地(くずぼんち)の中ほどには、樹齢が八万年といわれる大きなクスノキが生えていました。
あまりにも大きすぎるので、その下の村には日光が当たりません。
日光が当たらないので、作物もとれません。
村人たちは毎日、暗く貧しい生活を送っていました。
ある日の事、クスノキの噂を聞きつけて、どこからか身の丈が九百尺(約270メートル)もある大男が現れました。
男は大まさかりを手に、さっそくその大木を切り倒しにかかったのですが、不思議なことに男がいくら木を切っても、次の日になると切られた場所は元通りになっているのです。
何日も何日も同じ事がくり返されるので、さすがの大男も、とうとうまさかりを投げ出してしまいました。
「もう駄目だ。切っても切っても元通りでは、いくらおれでも無理だ!」
するとどこからか、一人の老人が現れました。
「お主、このクスノキを切り倒そうとしておるのか。よしよし、ではいいことを教えてやろう。毎日切った分だけの木くずを、その日の内に燃やしてしまうんじゃ。そうすれば、さすがのクスノキも元には戻れん」
そう言って、老人はどこかへ消えてしまいました。
実はこの老人、ヘクソカズラの精だったのです。
ヘクソカズラはいつもクスノキにバカにされていたので、大男にクスノキの秘密を教えたのでした。
大男はいわれた通り木くずを焼きながら、とうとうクスノキを切り倒したのです。
この大男が何者で、切り倒したクスノキをどこへ持っていったのかはわかりませんが、クスノキの切り株は今でも残っており、今の伐株山(きりかぶやま)がそのクスノキの切り株だと言われています。
そして『玖珠(くす)』という地名は、このクスノキに由来しているのです。
おしまい
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