2012年 2月6日の新作昔話
たまご太郎
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
二人は仲良く幸せに暮らしていますが、ただ残念な事に子どもがいません。
ある日の事、おじいさんが畑で金色に光るたまごを見つけました。
「金色とは、珍しい。何のたまごかはわからんが、とにかく持って帰るとしよう」
おじいさんがその金色のたまごを座敷にかざっておいたところ、翌朝に卵が割れて、なんと中から元気な男の子が飛び出してきたのです。
「これはきっと、子どものいないわしらに神さまが授けてくださったに違いない」
「ええっ、きっとそうですよ」
おじいさんとおばさんは、大喜びです。
おじいさんとおばあさんは、その男の子を『たまご太郎』と名付けて、とても大事に育てました。
でも、おじいさんとおばあさんは、とても年を取っているため、たまご太郎が一人前になるまで生きている事は出来ないでしょう。
そうなった時、残されたたまご太郎が一人で生きていけるかどうかが心配でなりません。
そんなある日の事、たまご太郎がどこからかわらじを持ってきて、おじいさんとおばあさんに一足ずつ渡しました。
そして、おじいさんとおばあさんに言いました。
「そのわらじをはいて、土間を三べん踏んづけて下さい。きっと、良い事があるから」
そこでおじいさんとおばあさんは、たまご太郎に言われるまま、わらじをはいて土間を三べん踏みました。
すると不思議な事に、おじいさんとおばあさんは若者へと若返ったのです。
こうして若返ったおじいさんとおばあさんは、たまご太郎といつまでも幸せに暮らす事が出来ました。
おしまい