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2012年 2月17日の新作昔話

キツネの仕返し

キツネの仕返し

 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが仲良く暮らしていました。

 ある日の事、おじいさんは山でカヤを刈り取っていたのですが、知らないうちにかやの中にあったキツネの巣の入口もきれいに刈り取ってしまったのです。
 これでは巣が丸見えで、しかも冷たい風が巣の中に入ってきます。
  巣の中にいたキツネは、刈り取ったかやを背負って帰って行くおじいさんを見て言いました。
「人間め、何て事をしてくれたんだ! この仕返しは、必ずしてやるぞ」

 その夜、キツネは立派な人間の若者に化けると、おじいさんの家の戸を叩きました。
 トントン。
「おや? こんな夜遅くに誰だろう?」
 おじいさんが外に出てみると、キツネが化けた立派な若者が大勢の部下を連れて立っていたのです。
 若者は部下に山の様な小判を用意させると、おじいさんに言いました。
「わたしは、さる長者の使いです。
 実は長者が、この家を買い取りたいと言うのです。
 突然で申し訳ございませんが、このお金で家を売っていただけませんか?」
「こんなに、大金を?!」
「はい、小銭で申し訳ございませんが」
 これだけのお金があれば、一生遊んで暮らせます。
「小銭だなんて、とんでもない! すぐにお売りして、家を出て行きますで」
 おじいさんとおばあさんは長者の気が変わっては大変と、お金を受け取るとすぐに家を出て近くの温泉宿で夜を過ごしました。

 次の朝、おじいさんとおばあさんは家を売って手に入れた小判の数を数えようとしたのですが、なんと小判が全て木の葉に変わっていたのです。
「木の葉? ・・・しまった! あの若者は、キツネかタヌキが化けたものだったんだ!」
 だまされた事に気づいたおじいさんとおばあさんがあわてて家に帰ってみると、家はすっかり壊されていたという事です。

おしまい

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