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1月30日の世界の昔話

ワニの贈り物

ワニの贈り物
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 むかしむかし、ある村に、とってもやさしくて子もり歌の上手なおばあさんがすんでいました。
 ある日おばあさんが川へいくと、ワニがこえをかけてきました。
「おばあさん、たのみがあるんだよ。ないてばかりいるうちの子を、うまくねかしつけてもらえないかい?」
「それなら、まかしといて」
 おばあさんは、ワニの背中にのってむこう岸ヘわたりました。
 なるほど、しげみの中では、子ワニがわんわんとないています。
 おばあさんは、草をかき分けてかけよりました。
「よしよし、かわいい坊やね。安心おし。わたしがきたからもうだいじょうぶ」
 おばあさんは子ワニの頭をなでて、さっそく子もり歌を歌いはじめました。
♪バユーバイ バユバイ。
♪子ワニちゃん。
♪おねむりなさい。
♪かわいい 子ワニちゃん。
 おばあさんの歌を聞くと、子ワニはピタリとなきやみました。
 それから、フワーーッと大きなあくびをして、かわいい寝息(ねいき)をたてはじめました。
 でもおばあさんは、まだしばらく歌いつづけました。
 やがて子ワニが、ほんとにグッスリとねむったのをたしかめてたちあがりました。
「さて、そろそろ帰るとしましょうか」
 すると親ワニが、魚のいっぱい入ったカゴをもってきてくれました。
「ありがとう、おばあさん。お礼にこれをとっといておくれ」
「これは、ありがたいわ。わたしは魚が大好きなのよ」
 おばあさんは大よろこびで、またワニの背中にのり、川をわたって帰りました。
 おばあさんが家へつくとすぐ、となりのおばあさんがやってきました。
「おや、おいしそうな魚だねえ。いったいどこで手に入れたの?」
「川で、ワニにもらったのよ」
 おばあさんは、これまでのことをぜんぶはなしました。
「へえー、それじゃあ、わたしもいってみよう」
 となりのおばあさんは川ヘいくと、ワニにむかっていいました。
「さあ、おまえの子をねかせにきたよ」
「いえ、子どもはよくねむっているから、けっこうですよ」
「ふん! じきに目をさますにきまってるよ。さあ、わたしを背中にのせて、つれておいき」
 むりやりむこう岸へわたったおばあさんは、子ワニを見て顔をしかめました。
「ウヘー! なんてきたなくて、くさいんだ!」
 そして、ねていた子ワニをけとばしました。
 子ワニはビックリして、目をさまします。
 となりのおばあさんは、よこでハラハラしながら見ている親ワニにいいました。
「なにをグズグズしているんだい! はやく魚をとっておいでよ。そのあいだに、子どもをねかしつけておくからさ」
 そして、となりのおばあさんは歌いはじめました。
♪バユーバイ バユバイ。
♪さっさとおねむり きたない子。
♪はやくおねむり くさい子よ。
 そのとたん、子ワニはなき出しました。
 親ワニはおこって、カゴを差し出しながらいいました。
「これをやるから、もう帰っておくれ!」
 となりのおばあさんは、ニヤニヤわらいながら、
「そうかい、それなら、また川をわたしておくれ」
と、いって、またワニの背中にまたがって帰っていきました。
 家へつくと、まどや戸をぜんぶしめました。
 だいじなみやげ物を、だれにも見られたくなかったからです。
 そして、いよいよカゴをひらいたとたん、
「ギャーッ!」
 おばあさんは、ひめいをあげてきぜつしました。
 大きなヘビがシュルルッととび出してきて、おばあさんの体にまきついたからです。

おしまい

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