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2月13日の世界の昔話

ほら吹き男爵 月世界探検

ほら吹き男爵 月世界探検
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 わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
 みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
 今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。

  以前に、わがはいが銀のオノを取り戻すために、月にのぼった話をした事があると思うが、あれはあまりにもあわただしい旅だったので、またそのうち月へ行って、今度は月世界の様子をくわしく調べたいと思っていた。

 そんなある日の事、大金持ちのおじがたずねてきて、
「なあ、きみは数多くの冒険をしたそうだが、ガリバー旅行記に出てくる巨人の国などは、現実にあるだろうか?」
と、わがはいに聞いた。
 そこでわがはいは、こう答えた。
「まあ、ないとは言えないでしょう。
 あの話は、わがはいの冒険談と同じで、事実を元に作った話ですから。
 とはいえ、この地球上では、ないのかもしれません。
 わがはいは地球中を冒険しましたが、巨人の国は見ておりませんので」
「すると、あるとすればどこかね?」
「まあ、あるとしたら月の世界でしょうな」
「それじゃ、さっそく月にのぼって、巨人の国を見つけてくれないか。
 巨人の国が見つかれば、きみの冒険家としての名声も高まるし、わしもおじとして鼻が高いというものだ」
 おお、これはうまい話になってきたぞ。
「しかし、月まで行くとなると、それなりの用意が必要ですし、それなりの用意には、それなりのお金が」
 するとおじが、胸を叩いて答えた。
「金の事は、心配するな。全てわしが用意するし、その上、見事成功したら、わしの全財産をきみにゆずろう」
 それを聞いて、わがはいは大喜びで引き受けた。
「では、行きましょう!」
「それは、ありがたい。
 ところで月にのぼる方法は、前みたいにインゲン豆のつるでのぼるのかね?」
「いえ、あの時は、死ぬほど苦しみましたから」
「じゃ、気球かね」
「わがはいともあろう者が、そんな人まねが出来ますか。それより、おじさんの船を貸してください」
「船だって? 月にのぼるのに、どうして船がいるんだね?」
「ちょっと、考えがありますので」
 わがはいは思わせぶりに言ったが、わがはいを信用しているおじは深くは聞かずに、一そうの船を貸してくれた。
 わがはいは、さっそくその船に乗ってタヒチ島の沖合いへと出かけた。

 この辺りは、暴風で有名なところである。
 この暴風に巻き込まれると、人ばかりか、船まで空高く吹き飛ばされてしまうそうだ。
 さて、ここまで言えば、わがはいがどうやって月へ行くかがわかるだろう。

 わがはいは海上で、十八日間も暴風が来るのを待った。
 そしてそろそろしびれの切れはじめた頃、ものすごい暴風がおこって、わがはいの船はあっという間に上空に吹きあげられたのだ。
「それ、帆をはれ! 風をつかまえろ!」
 わがはいの号令に帆をはった船は、ますます空高く飛び上がった。
 そして風に吹かれて六週間後、船はきらきら光輝く丸い陸地へとたどり着いたのだ。
 ここが、地球から遠く離れた月世界だ。

 今日の教訓は、『金持ちの身内は、大いに利用しろ』だ。
 お金に余裕のある人間は、自分の好きな事に関しては、とても太っ腹なのだ。
 きみたちの周りに金持ちの身内がいたら、少々無理な事でも思い切っておねだりしてみよう。
 なあに、断られてもともとだ。
 うまく行けば、きみたちの望みがかなうぞ。

 次はいよいよ、月世界での話だ。
 この続きは、また今度してやろうな。

おしまい

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